Y「ぎゃー」
平日の深夜、僕の声がアパートの一室に響く。
妻「なになに? どうしたの?」
Y「蛾が……窓と網戸の隙間に閉じ込められてる」
妻「ぐへええええ」
Y「明日の朝逃がそう。もう今こいつと対決する元気が無い」
妻「うわーん。いやだー」
次の日。深夜。
妻「ぎゃあああー」
Y「何何どうしたの?」
妻「蛾が……卵産んでる」
見ると、窓の上の方に2センチぐらいの卵の固まりがこびりついている。
蛾はその横でヨロヨロしながらへばりついている。
Y「この卵、こいつの体の3分の1ぐらいのデカさない?」
妻「ひーん、あとで取ってよ!」
Y「分かった」
2時間後。
妻「Y君、これ見てよ」
見ると、2センチ台の卵の固まりが2つ。
卵の横ではぼろぼろになった蛾がおかしな動きしながらへばりついている。
こいつ、まだ産みそう。
Y「何こいつ。体のほとんど卵だったとしか思えない量になってんじゃねーか。
つーかこれ、どうせ冬になったら吹雪いて死んじゃうんじゃ……」
妻「いやいや、春になったらこいつら出てくるんだって」
Y「すげえな。蛾、すげえな」
妻「もうだめ。春になる前に引っ越そう」
Y「そこまで!?」
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