頭痛 By Y平

 先日頭痛がしたので「これは脳卒中に違いない」と一人で騒いでたけど自然に直ったので恥をかいた。思えば中学のとき。部活中にあばらを強打してものすごく痛がってたら、ちょっとした騒ぎになったことがあった。顧問が真剣な顔で僕の親に話しかける。「この痛がりかたは……折れてるかもしれませんね」。それを聞いて顔面蒼白になる親。苦悶の表情で「いてえいてえ」を連呼する僕。そんな痛がる僕を車で運ぶのは僕の親です。「大丈夫? 大丈夫?」と話しかける親を尻目に、当の僕のあばらはというと、どんどん痛みが引いていく。あれ、これ別に怪我じゃないんじゃね? 分かってる。分かってた。痛がって3分ぐらいでほんとは気づいてた。気づいてたけど今更、ねえ。なので「いてえいてえ」と依然として僕は演技を続ける。続けなければならない。んで病院着いたよ。レントゲン、パシャリ。異常はない。あるはずがない。無駄に放射線浴びた僕だけが残った。まあなんつーの、僕は大げさなんだよね。うん。
 ですが今度はガチ。ガチで頭痛い。ふらふらする。それに気づいたのはコンビニのバイト中でした。動きたくない。だるい。これはいかん。働きにきてるのに動きたくない思想を持っちゃうほどの痛み。これを何と言うか僕は知っている。脳とか卒とかつくやつ。今度は本物。マジ、頭痛すぎてレジ打ちをミスしまくる。ピッ。ピッ。ピ。「三点で352円になりまーす。はーい360円のお預かりでーす」ピッピコピ。チーン。レジに写るつり銭表示は35万9648円。何これ。頭痛すぎて、360円と打つところで36万円と打ってた。何だこりゃ、ぼかあ社保庁の職員か何かか。初歩的なミスですわ。急いでお釣りを暗算しなきゃ。っつっても僕理系だよ。数学は得意っすから。ええと、360円引く352円は……ええと、えっと。あれ? 頭痛いなー。もう。これは脳卒中だなーもう。
 などとウダウダやってたら、イカツイ工事現場の兄ちゃんに「兄ちゃんアホちゃうか? 8円だろうが! 義務教育受けたんかカス!?」みたいなことを言われたのでひどく傷ついた。醜い醜い教育的敗残者は僕です。いえーい。否。言い訳させてもらうと、例えばSASUKEのワンシーンを思い出せ。暗算ゾーンで、どうしても答えが出てこないときの山田勝巳の状況。勝巳! 簡単だろうが勝巳! 脳みそ筋肉でできてんのか!? これは山田勝巳がアホなのではなく、周囲からのプレッシャー、ファーストステージはクリアーして当たり前。そんなアスリート的強迫観念が、一時的に脳を混乱させているだけに過ぎない。つまりはそういうことです。ふーんだ。僕、数検5級もってるんだぞう。うんこ。
 そんな山田勝巳的ファクターにつけて、なおかつ今の僕は絶賛脳卒中中なのである。三桁の引き算ができなくなるのは自明であり、むしろできないからこそ脳卒中であるという逆裏対偶の発想。そこんとこを分からず僕をバカバカ言うのは、アベしてるを強引に流行らそうとするお日様の新聞と同じだ。病人をいじめて楽しいか。脳卒中の人間にレジ打ちさせて楽しいか? 何、楽しい? 俺はSだから? お前Mだから罵倒されるのが好きなんだろ? うぜーよおおおお! そのポップでアッパーな発言の数々! てめえはSMを勘違いするなよ。暴力の正当のためのS、M発言はやめろ。お前はSM界すべてを馬鹿にした。
 ということはどうでもよくて、コンビニ後、頭痛のする状態で「おやすみ、現世」と辞世のおやすみを吐いて寝た。脳卒中状態で寝ることの意味をあなた方は知ってるか。安らかな顔で眠る僕の横にいるのはたっちゃんと南。綺麗な顔してるだろ。死んでるんだぜ? つまり脳卒中はそういうこった。さらば現世。意識がシャットダウンして、どれくらい経っただろうか。目を開けるとそこには家の天井があった。いい朝だ。だいたい大げさなんすよ、僕は。
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日帰り伊勢 By Y平

 いやあ、旅行行っとりました旅行。友達数人で三重県は伊勢まで。夏休みに皆で旅行だなんて、大学4年生にして始めて大学生らしいことやったような気がしますわぁな。
 んで伊勢と言えば伊勢神宮ですわ。天照大野神が祭られてるお宮ですわ。っつってもここで神道とか日本神話のお話をすると高速でページダウンし始めるのが世の常なので詳細は割愛する。とにかく景色が綺麗だった。
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 360度木々で覆われた、深々とした緑の通路。そこを進むと観光的人工物がポツンポツンと点在しているのが見える。しかし、その陰に隠れてときおり自然物がひょいっと顔を出す。ものすごい太い木が生えていたりして赴き深い。
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 また内宮では、抹茶を無料で振舞っている場所があり、素敵っす。生姜糖の辛さと甘みを口に含みつつ、抹茶をすする。これが意外なケミストリー。かなりあう。おまけに周りを見やれば、緑色をした大自然。すんすんと鼻を鳴らせば、木々の匂いがやんわりと鼻腔をつく。落ち着きますわい。
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 伊勢神宮散策の後は、おかげ横丁へと移動した。なんやら今、おかげ横丁では招き猫まつりなるものがやってるらしく、あちこちに招き猫グッズが売りに出されていた。その影で、招き猫という猫属性に便乗して、わりと関係ないただの猫グッズも売りに出されていたので猫好きとしてはテンションが上がった。寝てるデブ猫をかたどったストラップを買う。1050円。これは可愛い。
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 小腹が空いたら、適当に買い食いできるのもいい。土産屋の漬物の試食や、露天の松坂牛の串などを買って食べ歩く。地ビールも売っていたので、その場で買った。んで歩き飲みしようとしたらわりと友達に引かれたのでやめる。の、飲まないんだ。い、いいよ、お土産用のつもりだったし。ということで地ビールはお土産用にした。歩き疲れたので、茶店で赤福でも食べてゆっくりする。これはいい旅行。
 帰り際に、くじがやってるのを見つける。招き猫くじだって。おかげ横丁で2900円以上の買い物すると一回くじがひけるらしい。皆のみやげ物代あわせると、一回分くじがひけるみたいなのでやってみる。くじの引き手は僕、Y平。皆の期待を一身に背負っていざや、特等。ええい、ままよ!
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カツオ節が当たった。さすが招き猫まつり。
 2900円のカツオ節を手に、次に向かうはここ、夫婦岩。やっぱり三重と行ったらここでしょう。ほら、台風中継とかで有名なあそこ、ね。うん。深いことは知らないので後でwikiとかで調べるといいと思います。とにかく夫婦岩。
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 おおー、ここが夫婦岩。ふぅん、これが中継とかで有名な。前知識がないから、そんな感じ。テレビで見てた芸能人を実際見たときのリアクションに似てる。テレビのときより肌荒れしてるーだとかそんなノリですわ。
 夫婦岩の近くに土産屋があったので、立ち寄る。ふと見ると、看板にこんな絵が書いてあったので危険を感じた。
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しかしよく見ると目の位置が、実際のあれとは変えられている。これはおそらく天然ではなく意図だ。これで小学館が来ても大丈夫。策士な土産屋さんやで。どんどん精度を高めて、やがては中国版ミッキーのような立派なキャラクターを作っていって欲しいと思う。
 さて、ドラえもんみたいなやつを尻目に、さっさと土産物屋に入ると、早速ここでも地ビールを購入。伊勢神宮で買ったのと合わせて本日二本目ですわ。晩酌が楽しみ。
 地ビールを買うときに、やたらと店のおばちゃんに「子宝飴」とか言うのを買わされそうになったので難渋した。見ると、キノコのような飴がたくさん入っている。一緒にいた友人が「おばちゃん、このキノコみたいなの何?」と聞くと、「キノコで子供は産まれんわあ!」とか言い出す。下ネタだった。おばちゃんは友人にしつこく「買え、買え」と迫っていたが、友人は「いいっすよー。僕もう持ってるんでー」とか何とか言って切り返したらしい。この友人、なかなかやりおる。
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 たまに外へ出るのもいいものですね。
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辞世のブログ更新 その6 By Y平

 頭が脂ぎってて非常に芳しくない。こう、頭の皮膚呼吸がうまくできてない感じがする。毛根が痒く、はらりはらりと抜け墜ちて行く頭髪たち。みんなみんな、どんどん死んでいく。それを見るとひどく悲しい気持ちになる。何が? 抜け落ちていく毛たちがか? 違う、毛に見放されていく僕自身が悲しい。このままでは本当に禿げる。ような気がする。
 禿げると不特定多数の人が喜ぶので、非常に遺憾である。喜ばせたくも無いやつを喜ばせちゃうほど僕は甘くない。とりあえず、毛穴の脂取りジェル、毛穴の脂取りタワシ、サクセス育毛トニックを購入。早速風呂場に向かい、まずは脂取りじゃ。うむ良好である。毛穴がすっきりする感じがいい。一気に毛根のむず痒さが飛んだ。タワシなど、細密すぎて毛穴に刺さらんばかりの脂取りっぷりよ。脂をとったあとは、伊藤英明ばりに険しい顔で鏡を見つめ、毛根にむかってジュウっとサクセスをひと吹き! くう、サクセス! これだよこれ。この頭髪が一気に総毛立つ感じ。活力が沸いてきた。サクセス!
 とまあ10年後の頭髪環境を気にし始めたところで、僕は近いうちに脳卒中で死ぬという事実を思い出した。確か指がうまく動かなくって、これは脳卒中に違いないと判断。死ぬまでブログを更新してやろうじゃない、と息巻いて連続5更新を行ったところでイビキをかいて寝たのが昨日。奇跡的に蘇生し、コンビニのバイトへと出勤。8時間きっちり労働した。その後、おばあちゃんの勧めでファミリー総出で回転寿司を食べに行った。あぶり秋刀魚が実にうまく、最高の秋の寿司でした☆
 そんな感じが今日の僕なんすけど、ぶっちゃけ脳卒中の可能性はゼロに等しいんじゃないかなあって冷静な僕が感じ出したので焦りますわ。夜中に書いたラブレターは朝読めないとか言いますが、まさにこのシリーズも……うわ……これ、もしかして……下手こいたー! デデデンデデデンデデデンデデデン♪ 小島よしおがいかにも出てきそうなシチュですわ。アッパーな女子大生あたりが大興奮の会場のご様子ですわ。ヒューーーウ。やめろ! 出てくるな! 僕はまだ認めたわけじゃない、よ……
 整理しよう。そもそもどうすれば僕はこの「辞世のブログ更新シリーズ」を終わらせることができるか? それはその1にも書いたとおり僕が死ねばいい。死ぬまで書くというなら、死んでエンドフラグおったてりゃ終了ですわい。なんだ簡単。だって僕は死にたい。こんな人生はまっぴらである。禿げるし。リセットしたいのである。むしろ好都合だ。カモン、死。カモン、死。しかるに死は一向やってこない。嘘っぽい脳卒中様に僕を殺すだけの根性はないというわけか。ならばどう死ぬか。死にようがないじゃないか! どうするんだ! 頼む、みんな殺してくれ! 俺、を!
 とかウェブ上で叫ぶと、ほんとにラリッた人が「俺が殺してやんよー」などと名乗り出てくるのでげに恐ろしき社会なり。ヒットマンは包丁を装備すると僕の住所を割り出しにやってくる。そのヒットマンの凶刃により僕は命を落とす→晴れてこのシリーズ終了。とかいくかアホぅ。
 考えろ。うまい言い訳を考えろ僕。……んでもまーウェブってのは、世知辛いものでして、「お前死ぬまで更新するって言ったよなー!」などと、1回宣言したことは意地でも守り通せ、情報を発信する以上、無責任な情報を発信するのは最低のマナー違反だ、等のシールドで武装し、僕らを攻め立ててくる人がたんまりいるんですぁな。それが一般化された大衆の意見ってやつですぁな。
 つことでもし僕が、そのシールドに反する行為などを行った場合は、とりあえず謝っておかなければならないわけで。一体何に対して、誰に謝っているのか、どこが悪いのか。そんなことは追憶の彼方に置き去り、とりあえず、「深く謝罪します」を文中に挿入。「皆様に指摘されたことを糧に」などと、あなたの意見はまっとうです。私めはそれを糧として成長していきたい所存であります的なことを匂わせればオッケー。簡単です。ならば僕も謝りましょかねっと。「死ななくてごめんなさい」
 そんなのは可笑しい。「死ななくてごめんなさい」が罷り通る世の中だったら腐ってる。「死ななくてよかった」だ。それが社会道徳だ。まったくあなた方は社会道徳を根底から覆す発言を僕に強要した。何奴。人非人。
 そもそも、「死ぬまで更新する」っつーのは嘘じゃない。それは対偶の関係から見れば明らかである。「死ぬまで更新する」→「死んでないなら更新する」の対偶関係、「更新しないならば死んでいる」ブログ更新しなかったら死んだと思っていいよっつう意味ですわい。すごい意味になった。が、まだ違反してない。更新してるもん。全然、嘘じゃない。
 死因だって限定してないし色々ある。昨日今日の脳卒中もあれば、70年後の脳卒中もある。もしかしたらヒットマンが僕を刺し殺す明後日もあるかもしれぬ。そう思うと、僕の書いてる文章は、いつ、いかなる文章が辞世の文となってもいいわけで。そう言った気概で臨んだこのシリーズの崇高なこと。いつ死んでも可笑しくないという視線で描かれる真剣なる更新。これは、誰よりも真摯に生に向き合った人の、結晶であるのです。みなさんどう思いますか? 僕はわりとどうでもいいです。
 とゆことで明日は遊び行ってきます。いつでも辞世の気持ちを持って遊んできます。うひょー。
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辞世のブログ更新その5 By Y平

 指が動かない~、絶対脳卒中だにょり~ん、もう死ぬにょり~んっていうコンセプトでこのシリーズを書き始めたんだけども、本日の更新五回目。一向にそのときは訪れないわけで。これは一重に僕の努力不足のせい、怠惰のせいという線が濃厚ですわな。
 んで、このシリーズを終わらせるためには、とりあえず死んどかないと始まらないわけですが、試しにちょっと目をつぶってみることにします。ほら、いびきとかもかき易くなりそうじゃない? 寝てるとかじゃないよ。脳卒中によるいびき? そのいびきが誘発されそうな気がするんだよね。
 だから僕、少しだけ横になってみます。ちゃんとその1で約束した通り、死ぬまで更新するよ! 絶対だよ! 僕が書かなくなるのは死んだときだよ! それではいざ、あっち側の世界へ参らんとす。ごろり。ふわあ、眠い。聴いたか? 眠いって。僕眠いって言いましたよね? これは兆候出てますねー。期待大です。うん。
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辞世のブログ更新 その4 By Y平

 指が動かないので自分は脳卒中で死ぬってことでやってきた「辞世のブログ更新」ですが、案外死なないのかなあ~って気がしてきました。実はその1を書いてた中盤辺りから、「俺、全然動くし」だなんて言いたげに指が動いてきやがりまして、なんつーかすごい言いにくいんだけど、脳卒中じゃなかったあ~~~~かな~~あ~? みたいな気分がします。あくまで気分ですけどね。さあ、死ぬまで更新するぞ。
 というわけで指が痛かった理由を、脳卒中以外の可能性、いや、これはあくまで事実に基づかない僕の妄想だけどもね、脳卒中で死ぬんだけど、あえて考えてみたらね。最近ピアノ弾き始めたのが原因かなあーなんつって思ったりしてね。え、なんでピアノ?
 というのもさー、3年前くらいから、ウチの弟がバンドとかあっち側の方面の文化にはまってるらしく。毎晩毎晩、何時間もベースとか弾いちゃったりしてるのな。で、その一方で僕は隣の部屋で「何回春菜まいで抜けるか選手権」とかやっちゃってるんだけど、純粋にその対比を見て自分が恥ずかしくなってさ。こう、僕も何かひとつのことに集中して輝いてみたいよなーとか思ったり。いや、確かにオナニーっていうひとつのことに集中してんだけど、それはほんの少しだけ違うなと。やっぱ、楽器に没頭するってのが高ポイントかなって。
 そういえば弟は中学で童貞卒業とか意味分からない経歴をお持ちだけど、一方の僕は完全なやらはただったし。挙句に5歳からオナニーとかものすごい黒歴史持ってたしなー。それもこれも楽器をやってこなかったからってのが大きいと思うのよね。モテなかったのも浪人したのも留年したのも、全部楽器をやらなかったから。そう思ったのですよ最近。何かおかしいことあったら言ってください。
 だもんでこれは一つ、楽器でもやりましょかーと。思ったわけですな。一重に、モテるために。モテたいがために。んで何やろかなーと思いました。家にピアノがありました。これだなと思ったわけっすわ。
 つっても実は僕、以前からピアノやってましてね。昔からけっこう弾いてましたよ。そうね、三歳の頃から弾いてたね。だから基本的技術とかは問題ないと思ったわけよ。つか3歳とか英才教育レベルだよなー。3歳からピアノを始め5歳からオナニーを始める。まこと性でも芸術でも早熟した子、才能の塊っ子てわけ。ひゃあ自分の才能が怖い。ちなみにピアノは5歳でやめた。
 つことで、早速ピアノの練習開始ですわ。指がバキバキですわ。カッチンコッチンに固まって動かない指、ヘ音記号の意味が分かってない頭。っかしーなー、三歳からやってたんだけどなーと自分の才能を疑いつつやる。ちなみに今、ここのサイトのピアノソロを弾こうとしてる。いや、だいじょぶっしょーみたいなノリでやった。したら死んだ。
 楽譜を見たら、音符がものすごい数あった。首をかしげる僕。バイエルにはこんなに音符なかったけどなー。と不思議がる僕。正直無理なんじゃねと諦める僕。しかしモテたい僕。中学で童貞卒業できるような人材になるためには、どうしても楽器が必要だ。これは絶対条件だ。顔とか服とかどうでもいい。とにかく結婚にはピアノが必要だ。
 四苦八苦してるところで気づいた。ピアノも音ゲーと一緒じゃね? だって要求されたキーを要求されたリズムで押し込む。これはまさにあれだ、DJMAXじゃないか。DJMAXで二徹とかしてた二年前を思い出す。そうか! ピアノをピアノと思うから弾けない。音ゲーとして捉えるんだ。DJMAXとして! 他人同士3人くらいで11時間ぶっ通しプレイをしてたときのことを思い出せ。思えばその当時落とした単位のせいで留年した。
 てなわけで一日2時間くらいずつ、ピアノを弾いてたわけですが、もしかしたらそのせいかもしんない。指動かないのそのせいかも。だってピアノ弾いてたら指とかバキバキいってたし。いや、もちろん脳卒中で死ぬっていう前提は変わらないけれどもさ。あーピアノ楽しいなー。でもこれやって何になるんだろう? ピアノが弾けたからって何が? そんなこと考えるなよ、全ての行為が無駄になるぞ。全ての行為がオナニーに定義づけされてしまうぞ。弟のベースも、俺のピアノも、あんたのブログとか、ファッションとか、恋愛観とか、全部だ!
 ……しかしよく考えたら人生は壮絶なオナニーかもしれんなあ。君はどう思う。例えばこの記事を見てどう思う。ふふふ。脳卒中嘘ついたなーこりゃ。
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辞世のブログ更新 その3 By Y平

 脳卒中で指が動かなくなったはずでしたが、段々動いてきたので腹立ってきました。今、僕の理性と中枢神経的なものが大喧嘩して、指に向かって「空気嫁」だなんて罵詈雑言を浴びせてるところです。まったく、ほんと空気の読めない指なんだぜ。
 えっとくだらない話を枕に続きますのは前回の続きなんですが、高い金払ってわざわざ大学に「らき☆すた」見に行ったわけです。これだけ見ると「うほっ! ガッコでらき☆すた見れんの!? どこ中どこ中!?」などとエナジーに溢れた人たちがムハムハすると思うけど、落ち着いてその1から見てください。ちなみにどこ中かは教えられません。(ヒント : 鳥取砂丘)
 して、DVDプレイヤー様があるサークル室にたどり着いたわけなんすけど、ゴミ貯めみたいになってたので多少なりともひいた。確か最後にここに来たのは八月の終わりごろなんだけど、明らかにゴミが増えてる。現役メンバーは一度も使ってないはずなのにゴミが増えてる。夏休み中誰も飲んでないはずなのに、ゴロゴロとマックシェイクのコップが落ちてる。
 得体の知れない闖入者の影に怯えながら、僕はゴミダメの中に入っていく。あとから来た先輩に機材を渡して、さて、こっからが本番。このゴミダメの中心で「らき☆すた」見ようじゃないか。オラわくわくすっぞー!(ちなみにゴミダメの様子は下記の通り)
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 始まって数分。とたんに集中力を奪われた。なぜ? あちぃもん。扇風機しかないサークル室は異常な熱気を帯びており、とてもじゃないが閉め切ってアニメ鑑賞なんてできる環境じゃない。え、なぜ閉め切ったか? それは……その……恥じらいですな。大学で「らき☆すた」見るとか中々恥ずかしいじゃない。だって、ドア開けたらもろに外からテレビ画面が見えちゃうんだよね。テレビの配置がさ、問題。そんな甘い考え、持っちゃいけないですか?
 と自問自答したら、「いや、それはダメっしょー!」と生真面目な自分が警告してきたので耳を傾けましょう。耳を澄ますとどこからともなく声が聴こえる。「自分の好きなものを恥らってどうすんの? 好きなものを好きって言えない意気地なしが、今後の人生生きて行けるの?」いや、もっともだわ。ここだけ聴いたらすごい正論に聴こえる。チャライあいつも、ヤンチャなあいつも納得の正論ですわ。恥ずかしがることはない。つーかよく考えたらどうせ夏休みだし、学生なんていないっしょー。だいじょぶだいじょぶ。オープンザ、ドア、アンド、ウィンドウ!
 開け放したら涼しくなったけど、なんかものすごい数の大学生どもがサークル室の前に溜まってたので閉口した。いつの間に。見てたらなんかのサークルの集まりらしい。僕は「夏休みに何集まってやがる」などと毒を吐いたりしたが、よく考えたらサークルって本来そういうものだった。ちなみに僕のサークルは12月まで活動予定がありません。異質なのは俺達?
 というわけで、開け放したサークル室と書いてゴミダメの前にタムロっとるのは、若々しい男女10数人です。キャピキャピした口調で冗談を飛ばしあう男女達。「僕私、青春してます!」オーラを全面的に出しながら、ゴミダメの中心で「らき☆すた」を見る男をチクチクと攻撃してきます。僕はその攻撃がさも効いてないかのように装い、視線はキッとこなたサイドに固定。眩しいほどの青春を見まい見まいと努力する一方で、聞こえてくるのは男女の嬌声また嬌声ですわ。時々僕のサークル室を、痛そうに覗いているときに出るであろう、「うわあ……」とか言う声が聴こえるのは気のせいだと思う。だって今、僕がテレビで見てるのも同じ青春だもの。ほら、パッケージに「学園・青春・アニメ」って書いてあるし。
 そんな僕の状況を知ってか知らずか、テレビに映る「らき☆すた」はギャンギャン本気モードへと移行。こなたつかさかがみみゆき4人で入浴してるシーンの始まり始まりパチパチ。アングルは基本、首から上、後姿、後ろからの俯瞰の三種類だが、首から上というよりは乳首から上という極めて好まれそうなアングルがチラホラ散りばめられていてナイスと思いきや余計なお世話だこの野郎。背中には、青春を謳歌してる大学生、前には乳首から上の萌え絵。その中央に鎮座しますは僕。みんな青春なのにすごい空気。僕だけ貶められてる嫌な空気。そりゃ血管もやぶれる。
 後ろを向いて現実の青春どもを見やると、ガチで女の子がひいてたので、こっちもひいた。というかムカついた。くそう。なんだ。何も知らないくせに。僕は決して、このアニメを見て「萌えええええ!」とか低次元な空気で喜んでるわけじゃねーんだぞ。くそ。てめえ、この声優さん。平野綾の声の異質さとすごさ、分からんか? クソ! 見てもねーのに批判しやがって! え。僕はこの平野綾の声がすごいので見てるんじゃ、ドアホ。言うまでもなく萌えとかそういうんじゃない、ただアマの人形劇師の僕として、アクター的な僕として、畏敬の念を払って見とる。それは純粋な芸術と向かいあう気持ち、ストラディバリウスを手に取るバイオリン奏者と同等の真剣みで、「らき☆すた」と向かいあっとる。それは、先入観から本質を知ることを放棄したあんたとは比べ物にならない差だ。俺とお前の差だ。それに君達青春野郎どもはよく言ってるじゃないか。「なんでも経験するんだ! 僕私はそれでどんどん輝いていくのよ!」ってそんなニュアンスのことを声高に叫ぶじゃないか? しかるに君達の態度は何だね、そういったことだから……え、何だって? でもキモい? それを言っちゃあおしまいだよのび太君。
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辞世のブログ更新 その2 By Y平

 相変わらず指がうまく動かないので、順調です。死がだんだんと迫ってきているのが分かります。この調子で頑張れ、僕の脳卒中。
 というわけで本日2回目の更新なんすけど、今日は用があって大学に行っとりました。用っつーのは、先輩がお芝居やるので見に来いっつー用なんすけど、実はなんか道具ないから、サークルのステージ機材貸してくれ、だからサークル室開けてくれ、だから鍵持って来いっつー用でもあるんすけどほんに疲れた。いや、サークル室開けるためだけに大学に来る労力を舐めちゃいけない。疲れた。そら血管もやぶれます。
 そんで大学に来る動機付けが「鍵を持ってくる」じゃあまりにも寂しいので追加した。強引に動機付けするとか就活生ならではのスキルってやつですわ。考える、考える。ぽむ。したら思いついた。「らき☆すた」を見よう! ナイス!
 というのもウチのサークル室にゃなんと、DVDプレイヤーがあるんですわ。だからゲオで「らき☆すた」借りて、そのままサークル室で見ようってわけ。これはいい動機付け。
 動機付けをしたら次は行動よ。僕は多少、先輩の指定した時刻には遅刻するんじゃね的な時刻に起床すると、ケッタこぎこぎ最寄駅まで頑張ります。ふうやっと着いた。着いたら自動改札に定期入れて通る。ガコン! ピンポン! ピンポン! Why? 改札ガコン閉まって止められましたわ。後ろのサラリーマン風の人が、権力によって止められた僕の背中にボスンとダイブしてきましたわ。あ、すぃぁせん。あれ、おっかしいなあ。などと独り言言いながらスゴスゴと僕は改札様の御前から下がります。そして「う~ん? う~ん?」などとさも不思議がってる風の声をあげたりします。この一連の独り言は周りに対する照れ隠しでもあります。よく、あるだろ。そういう光景。
 したら見事に定期が切れてたので憤慨した。しかもタイミングを計ったように昨日で切れちゃってたのでさらに憤慨した。何が切れるって、これで大学まで往復2000円強フラグが立っちゃったことですわ。高! 高すぎるよー! この「らき☆すた」は高すぎるよー。
 というわけで、高い料金払って電車乗り継いで行ったわけです。そんで途中の駅でゲオ寄ろうと思って、降りて「らき☆すた」借りようと思ったら重要なことに気がついた。駅出たらまた料金支払わなきゃならないじゃん。僕、駅出た。大学の最寄り駅違う。ゲオの駅。つい、定期持ってる体で降りてしまった。とんだドジっ子だ。
 しかもゲオ行ったら2本で840円とかワケの分からないこと言われた。高すぎる。ガンダムとか一本100円で借りれたのに。そういえばあのゲオ、昔からおかしかった気がする。やたら延滞料金とか取られた思い出がある。ひどいときは2本で3600円くらい取られたときあった。店員さんもびっくりしてた、そんな風景が脳内にダイレクトエントリーしてくる。は、ざまあねえ。自分のしでかした悪にびびってちゃあ世話無いぜゲオ様よー。と、僕は気色ばる。ケツの穴のちっちぇえゲオだぜ。と、僕は虚勢をはる。
 お前達、つまり読者様の言いたいことはよく分かるけど、察しろ。これは察する文章である。
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辞世のブログ更新 その1 By Y平

 まだ夏休みですよー僕。毎日何かしらやっております。バイト、読書、観劇、楽器、旅行、恋愛云々。自分で言うのもあれだけど、これは充実した休みっす。僕は輝いております。あ僕は輝いております。
 そんなゴールデンな僕をアピールしておいて次に言う言葉は「欝です……」の一言であります。今日家に帰ったらなんかこう、目の焦点は定まらないし、なんか足は痛いしで最低です。指もうまく動かなくなって最低です。現に今の文章打つのも必死です。例えば、頭が「文章」と打ちたいっつー指令出してんのに、ディスプレイには「ぶんよう」って字が何度も何度も浮かぶ。そのたびに僕はバックスペースキーを押そうとすると、指の下に滑り込んでくるのはエンターキー。いや、違う僕の指がエンターキーの上に滑り込んでいく。暴走。うまく動かない指。動けよ! 動いてくれよ! 泣き叫ぶは僕の心。
 ……ウェイト。これは、指のせい……か? この指のシャープかつ確実におかしな挙動。それはシンジやアスカが「動けよ!」と言ったところでうまく動くようなレベルではなく、もっとこう、体のうちの悪玉的パッションが僕の指令を阻止しているような、そんな感じがする。そこで脳内にカットインするは医療的な考察。まさか……脳的なものの血管的なものが破れたのではあるまいか。
 そう思うと、今までの人生でおかしな点が浮き出してくる。人と比べて呂律が回らない気がしてきた。「おはようございます」を言うときによく噛んでた思い出もチラホラよぎる。確定。絶対切れてる。絶対血管とか切れてる。数時間後僕はいびきをかきはじめ、そして突如として訪れるのは死とか言う恐ろしいやつ。時間がない。僕はなんとしてもこの辞世のブログを書き上げねばならぬ。先日追い詰められないとブログ更新できないっつー精神でもって、わざわざ漫画喫茶でブログ書いてた僕だけども、今度は最高に追い詰められた。死とかすごいのが追い詰めてきた。これで書かなきゃ嘘でしょ。だから今夜は僕が脳卒中で死ぬまで、更新を立て続けにやったろうと思います。昨日日記をサボった罰だとかそんなのじゃありません。大体僕は誰のために、どうして罰を受けなきゃいけないんだい? とりあえず今から死ぬまで書き続けます。
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ブログを書こう By Y平

 たいがい暇が出てきたのでブログを書こうと思うのですが、書けません。おやおや? これは、ブロガーにありがちなスランプアピールですかな。悲痛な面持ちで語るのは僕、Y平。
「読者さんに面白いものを提供しようと頑張ってるのですが、そうやって気負えば気負うほど、書けなくなるんです。どうにもなりません……少し休みを下さい」
それを取り巻くは、暖かい読者たちの声援また声援。「ゆっくり休んでください」「書きたいときに書けばいいんですよ」「ブログなんて気楽でいいんですよ。復活、待ってマスp( ^ 0 ^ )q」だなんていう砂糖みたいに甘い甘いお言葉たち。それを見て僕は涙涙の大感激。「みんな、ありがとう! 一回り大きくなって帰ってきマス! みんな大好きだ!」っていう茶番。学生ブログっていう狭い世界の茶番劇。
 そんな茶番はついぞなくて、原因としては最近のAVの充実具合ですなー。なんつーか趣向のあうAVをダウンロードしすぎた。
 こう、パソコンの前に座るとどうも急にね。あふれ出るパッションみたいのが沸いてきましてね。それが「ブログ書きたい!」っていう若々しいパッションならば問題ないんですが、どうも違う。たとえば「巨乳にうずまりたい!」とかそういう、ある意味若々しいパッションなのでタチが悪い。いや、逆に立ちがよすぎる。
 インターネットなんてもう、そりゃグーグル様のとこに「巨乳 窒息」なんてワード入れりゃ、即アダルトワールドのお出ましですからね。そのお手軽具合が僕の自制の念をぶち破る。
 確かに、「一発抜いてからじゃあ、もうブログ書く集中力なんて残るはずない。精子出す労力をなめちゃいけない。俺がもし鮭なら、精子出した瞬間力尽きるんだぞ。それほどの作業だ。我慢しろ、Y平。」だなんて、AVに凸しようとする僕を止める僕もいるんです。
 が、逆に「あえてAVを見てからの更新のほうが、苦しくて自分のためになったりしませんか? 集中力を欠いた状態でどれほど書けるか、みたいな。挑戦しましょうよ、Y平さん」だなんてチャレンジングなY平さんもいるのね。
 んで、僕はポジティブシンキングの就活生ってのもあって、リスクは少ないが成長の望めない前者より、成長重視の後者のほうへ突撃してしまうのも無理からぬ話ですわ。むしろ「俺はAVを見てからブログ更新するんだぞ!」だなんて誇らしい気持ちがある。なんかこう、ウェイトつけて試合にのぞむピッコロみたいな優越感がね、たまらないよね。
 そしたら案の定、放出後は抜け殻っす。つーか放出したあと、無意識に「死にてえー」とか言ってる自分がいて怖いです。駄目。このウェイト重すぎる。AV見たあとじゃブログなんて書きひん。ピッコロさん、このマント返します。
 つってもマントを頑なに渡そうとしない僕。なぜか。だってこのマント(杉山圭、春奈まい等)素敵すぎる。このマント破棄するなんて僕にはできない。マントをギュッと握り締め落涙する僕。「やっぱり、僕はAVが好きだ! ブログより!」と再認識、ぱっと輝く僕の顔。「やっと素直になったな」とニヤリとするピッコロさん。すると1回も2回も同じだろーっつーことで、「何回春菜まいで抜けるか選手権」が僕の部屋で勃発する。4回。昨日は4回だった。春奈まいの肉付きが相変わらず最高だ。はあはあと肩で息をする僕を見て、ピッコロさんはにこやかに語りかける――この人が笑うなんて珍しい。それほど僕にとっての4回はチャレンジングだった――「さあ、孫。今からブログを更新するぞ」は? 何を言ってるのかなこの緑の人は。
 ということで、最近は手抜きのラジオ更新が多くなっちゃったわけで。手抜き後の手抜きラジオですな。
 しかしまあ、こんな状況が長く続くのはよろしくない。もっとこう、文章を書いて生産性のあることをしたい。精子生産はもうウンザリだ。つことで、ハードディスクに春奈まいがおらず、かつAVがダウンロードしにくい環境に身を置こうと思い、今日は漫画喫茶に行ってきました。さあバリバリブログを更新しちゃうぞ!
 したら満喫に「らき☆すた」があったので狂喜乱舞した。すると「らき☆すたを見たあとでブログを更新したほうが、苦しくて自分のためになるんじゃない?」とチャレンジングな僕が囁いたので従ったら夜になった。やっぱりこっち側は居心地がよすぎる。ブログよりも。
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背伸び By Y平

 先日インターン終わってウキウキでおりましたら、友人から「飲もうぜ」と誘われたんす。まあなんせウキウキでしたからね。インターンの打ち上げっつーノリで、とにかく飲みまくってやろうじゃん。ってことで二つ返事で快諾。夜8時ごろにその友人と待ち合わせて飲みに行こうということに。
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 大学近くの大通り。その隅っこの一角で、僕は駐輪自転車の陰に隠れるような形で友人を待つ。牛丼屋から爽やかな顔をして出てくる体育会系の男子たち。手をつなぎながら、平和そうな笑顔で歩いて行くカップル。酔ってだみ声を張り上げる男、男を「ひゃはは」と甲高い笑い声ではやし立てるギャル達。行きかう車のライトが、ギラギラと人や店を赤や黄で照らし、夜だというのに街はどこか華やかだ。
 こんな中で一人、ポツリとしていると、なんだか惨めに思えてくるのだけれど、今日は違う。だってこれから飲むんだもん。僕にだって、この楽しそうな空気を享受する権利があるはずだ。いつもはガチで一人だけど、今日だけはそうなのだ。となぜか僕は誇らしげだった。
 遠くから見慣れた友人がやってくる。夏休み中に会う、久しぶりの友人はどこか不思議な気がする。懐かしさと、気恥ずかしさ。目に見えるわけではないが、お互いが成長しているような気がしたり。
 久しぶりの再開を喜んだ僕達は、早速夜の街へと繰り出した。今日はどこへ行こう? とりでんか、村さ来か? はたまた家飲みか? と友人に問いかけると、彼はハズカシそうに口を開いた。
「行きたいバーがあるんだけど……」
 バー!? BARっすか!? いやあ、BARは正直ちょっと……キャラじゃないっすよ。と答えるのは夏休み前の僕だ。今の僕は違う。いや、経験多き夏休みを経て、僕は少なからず変わったのだ、と思い込もうとしていた。言ってみれば、この提案は過去の自分からの挑戦。この提案を眉一つ動かすことなく賛同できれば、「自分は変わった」という命題を証明できるような気がした。誰に対して証明を? もちろん自分自身に対して。
 というわけで僕達はオシャレバーへと足を踏み入れた。カウンターしかない店内は、薄暗く、フローリングはくすんだ茶色をしていて味がある。カウンターの奥を覗き込むと、英字で書かれた強そうなお酒がズラリと並んでいるのが見える。ボトルの後ろからライトの光が当てられ、青や茶、緑など様々な色の光が溢れてくる。それらの色彩が混ざり合って、店内はなんとも言えない、ダークグリーンな光で包まれている。あちこちに置いてある、乳白色のガラス筒のようなものに、蝋燭の火がゆらめいているのもいい。
 客は密着しながら飲んでいるカップルが一組。二人とも、酒に酔ったというよりは、空気に酔ったような顔をし、とても幸せそうだ。バーテンは一人。自信に満ち溢れ、いかにもその道のプロのような手際でボトルを繰りつつカップルに話しかけている。静かな笑い声で店内が満ちる。
 僕らはノソノソと店内に入っていくと、所在なげな感じであたりを見回す。そして二人とも思った。「しまった、帰りたい」
 若かった。バーという所に踏み入れちゃう自分に幻想を抱いた。僕はバー的な人種ではなかった。というかこのバー、本気である。もっとワールドカップ期に時折テレビで見るような、粗野な感じのスポーツバーみたいなのを想像してたんだけど、こいつは本気だ。例えるなら、となりのカップルが島耕作とその愛人に見えそうな。もしくは藤子Aノリで一人、安いバーボンなどを飲んで愚痴っていたら、喪黒福造がポンと肩を叩き、どーん! つまりはそんな雰囲気のバーだ。これはキャラじゃない。明らかに僕達はこのバーの異物だ。
 しかし異物にも異物なりに守らねばならん領域がある。成長を臨む向上心がある。バー様にとっては陳腐であろうが、僕達にだってプライドがあるのだ。絶対に負けられない戦いが、そこにはある。しかし一体、戦いの相手は誰なの? もちろん「バーにいる自分自身」だ。
 とりあえずウォッカをストレートで注文、早々に飲み干した。気まずい人と飲んでるときに、早く酔っ払っちまおうってのはよく使う手だが、店自体が気まずくって飲むってのは中々珍しい。そんなのは2年前のクリスマス以来だ。カニ料理店を予約し、彼女とウキウキで入店したら、客がガチで僕らしかいなく、店員が「クリスマスに予約してまでカニって……」とヒソヒソ声で話してた店以来のことだ。そのときもシコタマ飲んだ。
 早く酔わねーかなー、だなんて暗黙のうちに二人で飲みまくってたら、状況はさらに悪くなった。というのも、レゲエとか言う形容詞のために存在してそうなイカツイ兄ちゃんが3人、ご来店なさった。言い忘れたが、店内は8畳くらいしかなく、席も10あるかないかである。当然のように、僕の横にレゲエ達が座る。太い腕、自信に満ち溢れた顔と言動。バーテンに親しげに話しかけている。
 「マジー東京はでっけえと思ったてー。東京のやつらにあって大分刺激されたし。俺らーのグループのバイブスも超上がったしー。やっぱ地方はダメっしょー?」
 バ、バイブス? えっと、何語なんすかそれ。バイブスってあれ、「ピューっと吹くジャガー」とかで、それっぽい用語として出してるだけの嘘言葉なんじゃないの? え、違う? ふぅん。そう使うのかバイブス。バイブス。バイブス。既に八方敵ばかり。前はバーテン、横はレゲエ。残されたのは出口だけ。空気が「帰れ」と僕らを脅す。
 しかしここで転機が訪れる。レゲエ仲間がもう一人いらっしゃった。が、先に来てたレゲエ3人と僕達2人で席が埋まっていたため、新レゲエは手持ち無沙汰に店内をうろつく。
ところが、僕らが一つずつずれて席を座れば、新レゲエは3人と合流できる席の配置だった。すると自然、「席をずれろ」という気運が高まってくる。僕はその気配を敏感に察知すると、
「ずれましょうか?」
とレゲエたちに声をかける。GJ自分。やはり僕は成長した。レゲエらが僕にお礼を言う。双方ともニコヤカに和む。バーテンも優しく微笑む。何だかこの瞬間「バーにいてもいいよチケット」を勝ち取ったような気がした。客同士の譲り合い。些細なコミュニケーションではある。が、その些細なコミュニケーションが、バーにいるという気負いを僕から取り去った。イケる。僕はバーに認められた。
 そんなことを思いながら席をずれようとしたら、自分のカバンをひっくり返し、ダララララーと床に持ち物が散乱したので死んだ。レゲエたちの足元に教科書やら、ルーズリーフやらがゴテゴテとぶちまけられた。よく見たら、ティッシュとかガムの銀紙だとかゴミまでぶちまけられてた。そういえば僕のカバンにはゴミが入りっぱなしだった気がする。
「すいません、すいません」
と床をはいつくばるのが僕で、それを見下ろしながら「何コイツ天パっちゃってるの」と思っているのがレゲエたちです。早く早くと焦れば焦るほどボロボロとゴミを落とし、もっともテンパッてる人らしい天パり具合を演出する演技派の僕。その瞬間、件のチケットは強奪された。横ではバーテンが、女の子にオシャレなインテリアを見せながら、「アートだよね」と悦に入った言葉を発している。何がアートだ。
……
 帰りに「らき☆すた」を借りて深夜に見た。やっぱ僕はこっち側だよなーと思った。こっちってどっちかは分からないけれども。
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ソフトウェア系インターン総括 By Y平

 インターン終わった。やっと終わった。いや、もう最高です。たった数週間だったけど、濃い経験をさせていただいた。仕事の楽しさもさることながら、他のインターン生との交流、厳しくも僕の成長を願ってくれている社員さん、自社の成長を切に願い、一丸となってプロジェクトに向かっていく社風、全てが僕にプラスな刺激を与え、僕は大きく成長することができマシタ!!
 とか言ってみてー。マジ言ってみてーよー。「俺、成長した!」っておくびもなく言えちゃう人物。さういうものに、私はなりたい。
 ぶっちゃけ言う。プログラミングの技術、これは確かに上がった。プログラミングへの興味、これも確かに沸いた。気づいたら「ゲームプログラミングで学習するJava入門」とか言う香ばしい本を買ってしまったほどだ。
 この衝動、このプログラミングへの熱いパッションをどうするか。したらば僕はこのまま一直線に「ソフトウェア業界」へ進出。SE(システムエンジニア)になっちゃう? なっちゃう?
 NO、なりたくない。プログラミングは趣味の段階が一番楽しい。これが仕事とかありえない。少なくとも僕からしたらありえない。3K(「きつい」「帰れない」「給料が安い」)とかありえない。すると社員さんが言う、「はっきり言って、どこの業界も3Kでしょ?」いや、もっともです。就職して、「俺の仕事、超楽勝」て言ってるやつをついぞ見たことが無い。
 しかし、それを探すことが僕の就活なのだ……と言うような様子でおったら、社員さん再登場です。諦めとも哀れみとも思える侮蔑の視線をあびせながら「それは甘えだ」と斬り捨ててきやがる。じゃあ働かずに死ぬしか、ない、じゃな、いか!
 冗談ではなく働きたくない気持ちだけ膨らんだ。そう聞くと、大方の就活生どもが鼻の穴を膨らませて、「こいつ、だめだし」などと鼻で笑ってきやがるが死ぬといい。何を嘘ついてんだ。お前達は働きたいのか? 本当に働きたいのか? 「うん、そうだよ。おれは広告業界でバリバリ働くんだ。そしてどんどん出世して……」ファックファックファーック! 島耕作気取りはやめて頂きたい!
 お前らの望んでいるのは働くということそのものではなく、その対価でもって得られる給料、名声、そしてその後の生活の平穏なんだろうが!
 無駄にスタイリッシュなマンション、キレイな妻と、聞き分けのいい娘。ゴールデンレトリーバー。それを被写体にお前はビデオカメラを手に取り
「カメラじゃないんだから……動かなくちゃダメだぞ、真奈美」
「はーいパパ」
「真奈美ったら動きがカクカクじゃない」
「ワンワン」
「はっはっは。いいぞぉ真奈美」
 一方で会社では馬車馬のように働き、常にプロジェクトのことを考え、ストレスで白髪が増えまくり。しかし憔悴しきった顔で家に帰ると、可愛らしい妻がお出迎えだ。玄関先にパジャマでトテトテ出てくるお前の妻。
「遅かったわね。ねえ、あなた……最近体大丈夫なの?」
心から心配そうにお前を気遣う妻を見て、お前は微笑する。
「ああ、大丈夫だよ」
そう答えると同時に、
(お前達さえいれば……大丈夫だ)
と半ば自分に言い聞かせるように、心のなかで強がるお前。いや、強がってるのか、本心でそう思っているのかも分からない。それほど、お前は頑張っている。バリバリ仕事もして家庭も守っている。それは……幸せ、なのか? それとも自己欺瞞、なのか?
 一方で就活を放り出し、今バイトしてるコンビニでパートして一生を終えた場合の僕の人生を見よ。
 週五で朝昼コンビニ、アフター5でもって好きなアニメDVDを鑑賞、深夜2時過ぎまでインターネット、エロ動画ダウンロードしまくり。独身。趣味はゲームプログラミングとブログ。「今日も人と話しませんでした」と多重人格とかいうブログに書き書きする僕と言う名の廃人。「俺も」「俺も」「俺も」とコメント欄に群がる他人という名の廃人。夏、冬には自費製作のゲーム、エッセイなどをイベントに持ち込み、好きな時間にあらゆる本を読む僕。コンビニではとりあえず時間が過ぎていくのを待ち(8時間)、帰って独り、焼酎を飲み飲み老いさらばえていく。そしてついに終末のときは訪れる。もちろん独りである。インターネットを開いたまま、断末魔のブログ更新だ。「ついに死ぬぞ!!!!!!!!!」それに群がる廃人という名の他人「俺も死ぬぞ!」「俺も!」「俺も!」ぽっくり。
「白骨化した独居老人の遺体が今朝、発見されました。近隣住人によると――」
 僕からすれば、どっちも悪くないと思えるんですね。不思議ですね。奇妙なのが上の二人とも、最期のときには「俺は幸せなのだ」と自分に言い聞かせて死んでいくのです。一体幸せっていうのは何なんでしょうかね? 幸せ、見つけたいなあ。
 あ、インターンのこと忘れてた。そうねえ、昼飯の焼きオニギリが絶品だったよ。
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第4回 Y平の就活ラジオ ~気まずいインターン~ By Y平

 ラジオです↓。
第4回 Y平の就活ラジオ ~気まずいインターン~
第1回 Y平のリクエストラジオ ~浪人生活について~
[最近の雑感]
 「忙しい? 忙しいっすね自分。だからすいません。書くのがメンドいのでラジオします。書くためのリハビリテーションか何かだと思っておいてください。ならない? そんなことはどうでもいい。
 いやー、聞いてくださいよ。やっぱブログで書けば2時間かかることも、ラジオだと10分足らずで済みますからね。なんて楽なんだ。……え? 手抜きだって。まさか先輩それはないっすよー。
 仕方ないっす、俺仕方ないっす。先輩。だって忙しいもんー。手帳のスケジュール欄なんてギッチギチ。この過密スケジュールをいかに効率よくこなすかってのも、大手に就職するために求められる資質っつーやつでしょ? 一つしかない僕の体をいかに色んな場面に、ギブすることができるか? この思想、この利他主義の企業人予備軍的姿勢。これぞ就活、これぞ輝いてる僕。内定をいち早く決めて、トルコあたりに思い出作りに行っちゃう勝ち組とは俺のことよ。そのためのあえての辛酸、あえての忙殺。僕が今、苦しみを感じることで、将来は明るく開けた様相を呈していく。たまらないよね。
 あ、気づいた。僕が今苦しめば苦しむほど、未来がよくなるならば、むしろ死ねばいんじゃないかな? 死の苦しみ、究極の苦しみが僕の未来を後々照らす。死の苦しみから得られる最高の幸福。おっくせんまんおっくせんまん。うひょー。
 ならば僕は就活的ポジティブ精神にのっとって、積極的に死ににいくことにします。小刀を前に思わずニヤリ。だってこの苦しみを抜ければ最高の内定が待っている。苦しめば内定をもらえる。そういう世界だと聞いた。ならば僕のやっていることはあながち間違いではあるまい。一方で「間違ってるよ」と指摘する弱気な俺もいたがファックだね。俺は就活生たちがデフォルトで持ってる強固なポジティブシンキングでもって、弱気な俺を突き殺す。しからば、すわ、爛々と小刀を繰り、頚動脈をズビシーと一閃。深い。これはいった。血しぶきのシャワーが赤々と部屋を赤い霧で充満させ、俺は恍惚とした表情でつぶやいた。『死が最高の苦しみだなんて嘘だ』」
 そんな誠に輝いちゃってる思想を振りかざすことで、なんとか生きてる。あとインターン2日。
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コメ返しは今日中にしますm(__)m

第三回 Y平の就活ラジオ By Y平

 関係ないけど、インターンが楽しいです。楽しいです。楽しいです。他の誰のためでもない、自分のためにインターンが楽しいと言ってる。楽しいんだ。あれは。楽しい。楽しい。たのしいたのしい
第三回Y平の就活ラジオ ~気まずい知人~
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就活散髪 By Y平

----------—リンク追加のお知らせ------------------------------
「屍ちゃんぷるー(Remix)」 管理人 DJしかばね
 世の中の比較的言いづらいところを、あざやかに斬っていく素敵なブログ。DJしかばねさんの、時事ネタを絡めたブラックなジョークはかなりツボです。人とは違った目線で見るとはこういうことかもなあ。
すごいツボった記事たち ↓
差別する建造物2
牛に願いを~Love&Farm~
”経験”でドレスアップ
テレビドラマの虚構性 ― 『山田太郎ものがたり』第4話
近所祭り
----------—-こっから本文-----------------------------------—-
「Y平さん……え? うそ? ハゲてますよ?」
 みたいなことを言われたので焦った。言い方としては「しまった、気づきたくないのに気づいてしまった」みたいなニュアンスで言われ、こっちもあっちも気まずい。僕は半泣きで、「え? うっそ! マジで!? ……やっぱかー! 俺、遺伝的にハゲるんだよなー!」などと空気を和ませるために大げさに叫び、乾いた笑いが向こう側(ハゲてない側)から申し訳程度に漏れてくる。という夢を見た。あっぶね、夢でよかった。僕、ハゲてない……よな?
 だがこの夢は、僕の脳内からの必死の警鐘のように思える。思えば4月からの大学生活、びびるほど風呂に入っていなかった。たぶん風呂入る確率は谷繁の盗塁阻止率ぐらい。そんなだから、ギャンギャン脂が毛穴に溜まって、髪をグシャグシャすると大量に毛が散った。
 中学生のとき。卒業文集に「将来ハゲそうな人ランキング」という親御さん青筋もののランキングが発表された。そのとき、なぜか僕が2位にランクインしたことがある。1位は下馬評通り、クラスのハゲキャラ大平君が選ばれたのだが、真にハゲそうな人として勝利したのは僕であった。だって僕はそんなキャラじゃない。「ハゲそう」などと中学の3年通して一度も言われたことはなかった。それが3月の卒業シーズンに急にランクインする意味、皆の気の使い様、担任の薄ら笑い。みんなみんな中途半端な優しさと悪意で溢れていた、様に思えた。
 だが、実際どうだ。僕は髪をグシャグシャと触ってみる、鏡に映してみる。ハゲてない。全然ハゲていないぞう。それどころか髭に溢れ、髪も長く、そして多い。体毛という体毛で黒々とした顔。頭だけには留まらず、顔面中に毛が散りばめられている。この勝利した感覚! 見よ! 「将来ハゲそうな人」を見極められなかった馬鹿な友人ども! ひれ伏せ! この顔。髪が長く、多く、不潔そうな毛いっぱいの僕の髪の毛を! 活目して見よ!
 不潔そうな髪で思い出したけど、明日から2週間のインターンでしてねー。これ、完全にヤバイよねーこの髪形。この天パ。これでは昔の友人に勝てても、インターンに負ける。ということで、髪を切りに行ってきた。
 いつもは大学の帰りか何かに、星が丘にある美容院に行くんだけど(これは星が丘という高貴な響きを利用した自己PRである)、まあ大学もないし適当で良いだろうということで、適当な美容室へ。
 カランコロン、っしゃいませーー! ちらりと確認する値段表。カット4000円。あ? この高い値段設定。ここは天下の星が丘様か何かかしら。ノン、ここは地元。てめえー、くそ。地元。まあ怒っても仕方ないので財布を確認。3700円しかない。へへ。
 へへへ、という軽率な笑いを浮かべながら、「すぃぁせん、お金ないっす。また来ます」っつって背中を向けたら、おばちゃん美容師に必死の形相で止められた。「あ、お客さん、何円あるの?」あ、3700円っす。「あ、なら大丈夫だわー。顔そりなくしたら500円引きだもーん」あ、そっすか。なら、お願いします。「あ、はーい。こちらどうぞー」あ、すぃぁせん。(美容室って顔そりしたっけか?)
 お互い、「あ」「あ」「あ」などと言い合いながら、席へ付いた。いざカットの始まりです。担当は先のおばちゃん美容師。一抹の不安が頭をよぎる。年配の美容師さんは何かしら怖い。センスが怖い。これは偏見か? いや、床屋を思い出すからだろう。僕は昔、床屋のおばちゃんに「スポーツ刈り」と頼んだら、ウド鈴木にされた経験がある。散髪コンプレックスはこの時期に培われた。
「今日はどんな風にしますかあ?」
 と言われても、返答に困るのが僕の性。なぜか考えてみる。……そうか、僕は髪を切りたくないんだ。なぜなら現状の髪形に満足しているから? 違う、ファッション的な意味じゃない、もっとこうダメな理由、半年に一回ぐらいしか髪なんて切りたくねー的精神。いいね。これはガチ。僕は基本、髪も切りたくない、髭も剃りたくない。ついでに働きたくもない。……働く? はっ、そうだ。テーマはそれだ!
「就活に耐えうる髪形にしてください」
 と答えた瞬間、空気を支配するのは沈黙と戸惑いである。「えっ」と逡巡の表情を浮かべるおばさん美容師。無理も無い。「大気圏突破に耐えうる装甲」とかそういう類の言い回しのごとく言ってしまった。これは妙だ。
 なので補足として、「横を短く」「後ろ髪を微妙に短く」とか断片的に、極めて主観を交えた曖昧な注文をいたしたところ、最終的に「さっぱりする」という意見でお互いが一致した。この美容室コミュニケーションはいつだって僕を悩ませやがる。
 しかし一息ついたのも束の間、おばちゃん、すごい勢いで髪を切り落としていく。チョキチョキ、とかそういうんじゃない。ジョンギリって感じにザクザク切り進んでいく。え、ちょま、おばちゃん。待って。ここで生じる双方のニュアンスの違い。僕とおばちゃんのさっぱり性の違い。双方には超えられない壁がある。あった。気づいた。
 しかし言えない、何も言えないのが僕であった。自分の髪形のコンセプトすら伝えられないこのコミュニケーション力のなさが悲しい。もしこれがおばちゃんじゃなくてクライアントだったとしたらどうするんだ!? 反省せねば!
 だりーよ。すぐ就活につなげようとする根性がダルい。日々のコミュニケーションの中で自分を変えていく。ああ、確かにいい考えだ。が、そのコミュニケーション力向上意欲の先にあるのが、「自身の内定」という極めて利己的な打算だ。……いや、これは別にいいか。キチンと相手に物事を伝える。これができるのは基本だ。当たり前だ。なんか就活的意識の批判したかったけど、何も浮かばなかった。このテーマで「就活とかムカつく! 特にあの自己アピールに余念のない、輝いちゃってる就活生ども! 死ねよ!」と就活的敗北者の弁を述べるのは不可能だ。ごめん、俺、間違ってたわ。
 自分の行動を反省してればなんか就活っぽい気がしたので、反省した。反省した僕は、ジャンギリジャンギリ切られていく横髪、後ろ髪にさよならしつつ、注文の修正機会をうかがう。なぜすぐに言わないのか? 言わないんじゃない、言えないんだ。なんか、途中で注文するって、優柔不断な感じがしていやじゃないっすか? あ? そこがダメなんだって? だりい。だりい意見だ。バカじゃないの。
 いいですか、カメムシがいましたよ。そのカメムシがいきなり「ビルゲイツになりたい」とか抜かしたら可笑しいでしょ。不自然でしょ。カメムシがビルゲイツになるのにどれだけの過程を踏むか、想像してくれよ。いいか? まずは、だ。地殻変動による気温変化、捕食者の増加など、ありとあらゆる進化をうながすファクターがまず必要だな。それに対して、何千万年、何億年という進化にかかる時間も必要だ。変化していく過程はものすごく遅く、目に見えないところから一歩一歩進化、そして人間には到底考えられもしない、悠久の時間と微小な可能性でもってようやくビルゲイツとなるんだ。
 つまり俺は今カメムシだ! 理想は、切る前から自分の欲している髪形を的確に伝えられることだ。つまりそれはビルゲイツだ。が、俺がまず目指すべきはそこじゃねえ。膨大な量の進化のうちの、一つ目の進化を遂げることが重要なんだ。「注文を伝えきれないまま刈上げにされる自分」(←今ココ)と、「横髪、後ろ髪をザックリ切られたあと、もうすでに時遅しだけれども、ようやく注文を言えた刈上げの自分」では、進化と言う点で崇高なる違いがある。これを繰り返していって僕はいつかビルゲイツになるんだ。分かるか。スピードにこだわるな。自分のペースで進化していけばいいんだ! これがわいのSYUKATUなんや!
「も、もみあげは長めでお願いします」
 かくして、僕は「注文は正確に言えなかったし、最後の最後でどうでもいいもみあげに注文をつけて、ほんとはどうにかしたかった前髪に関する言及は一切できなかったが、『切ってる途中で注文を追加できる』という胆力を得た、刈り上げで妙にもみあげが長い僕」という、僕に進化することができた。これは、ゲイツに向かう第一歩目の進化であり、僕は今日の経験を経て、「就活を通して成長できてる……!」という、就活生特有の輝いてるアピールをすることができたのである。
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