「私は舞岡ゆき。ローションで自分の体をマッサージするのが私の趣味。」
「僕はパンティー。ゆきさんのパンティー。ゆきさんまた僕のことを干しっ放しにして、一人で……なんかしてるよ。」(アンパンマンっぽい声で)
「俺は酔っ払い。なんだ? 窓が開いてるじゃねえか。ったく無用心な家だぜ。……お? おお! あそこで裸の女が一人で……」
「僕はパンティー。ああ、変なおじさんが、ゆきさんの部屋の窓をのぞいている! 大変だあ!」
「俺は酔っ払い! ゲヘヘヘ、興奮してきちまった……お? しかもこんなところにパンティーがあるじゃないか。あの女のか? ぐへええ、裸を見ながらこれで……おひょひょひょひょ!」
「僕はパンティー! わわ! やめろ! 変なおじさんが、僕を手に取ると……ああ! やめろ! 触るな! やめてええええ!」
「俺は酔っ払い! そうだ、このパンティー……口に入れてみようか、げへへへへ! シュッシュ。」
「僕は……パンティー……! ああ、やめて……ぐむ! うう……これは……はあはあ、これは気持ち悪いよおおおおお!」
「あはん、うふん……」(舞岡ゆきの声)
ギャグみたいなアダルト有線を、川崎のとあるホテルの一室で聴きながら、どーもこんばんは。Y平さんです。(ちなみに舞岡ゆきは昭和42年生まれ。古い。)
さて、頭のねじが外れたとしか思えない最悪の記事を書いたあと、ぷっつりと更新ストップの僕でありましたが、実は今神奈川県は川崎市におるんですね。
というのも、学科の集中講義で工場見学なるものに駆り出された僕。浜松ホトニクス、富士通、東芝など僕とはつゆと縁のない大企業様の工場を訪問、技術者のお話を聴くという大変ありがたい旅行中なのです。
いや、ほんと工場見学って楽しいっすね。モチベーションあがるし、自分の習ったことが実際に現場で使われてるのを見ると、大学の教育ってのはつくづくタメになるものなんだなあ、なんて感心します。役に立つって分かってれば、つまらない勉強も途端にやる気が起こるのは、僕だけじゃないと思いますね。
とまあ、そんな一辺倒な感想は他の就活ブログさんがたに任せておいて、やはりせっかく東京だの横浜だの大都市に出てきたんですから、少しは観光しないと損ってものです。むしろ工場見学なんてのは二の次、大切なのはアフター5でいかに情緒あふれる旅歩きをするかにかかってきますよねw
そいで、訪れた魔都「川崎」。この街は、夜中になっても人通りが絶えることなく、カラオケだの、ゲーセンだの、はたまたキャバやら、民家みたいな居酒屋、昭和からときが止まった服屋。酔っ払いのサラリーメンに、ヒップホッパー。カップルやらギャル男やら、そうかと思うとガキンチョ二匹連れた家族連れが急に現れたり。あっちこっちに相反する事象がゴチャゴチャに氾濫していて、またそういった不協和音が文化になっている。不思議な雰囲気の街でした。
さて、第一に僕が向かったのはLA CITTADELLA 川崎です。
ここは名古屋で言えばお洒落になった大須の商店街みたいな感じで、石畳でどこか欧風っぽいデザインのプレイスポット。中にはいかにも女の子ウケしそうな雑貨屋やら、服屋、映画館やゲーセンなどなど遊び場豊富。なによりも、猫の恩返しのバロンのいた街を思い出させる、ローマみたいな建築様式が素敵です。ローマ見たことないけど。
当然こんなお洒落な場所だと、あれがいるんですね。あれ、なんだっけ、カップ……カップルだっけ? まあ、カップルだかおセックスだか知らない輩がモンマリといるんですね。可愛いデザインの街灯の下で、ベンチに座りながら二人で愛を囁き合う。好き。……私も好き……。今日どうする? 門限は? 門限なんて関係ないもん。え? いいのかい?(ゲット!)みたいな打算うずまくトーキングが行われてるんでしょうなあ。へへへ、汚いよな人間って。
そんなお洒落街をロンリーで闊歩する童または貞なY平。すっげえディープインパクトなキスをしてるカップルを見て、腹立ちながらもズボンが膨れてる罪なY平。惨めですよねこれは。正直惨め過ぎて女の子のパンティー食おうかと思っちまった。僕はパンティー。(アンパンマンっぽい声で)
川崎市民のふしだらな市民性を目の当たりにした僕は、がっくりと肩を落とすと、そのスポットをあとにする。女なんて……女なんて一生いらないもんね。ブツブツ声にならない声でつぶやきながら、おもむろに居酒屋「かあちゃん」にIN。一人焼酎をあおるY平さんの背中はいっそう寂しく、そして小さく見える。その負け犬はロックをゴリゴリ飲み干すと、次はラーメン屋「萬○亭」にてドラゴン味噌ラーメン。うへあ、辛い。胃が痛い。涙が出る。
胃痛、ほろ酔い。おまけに鼻水まで出てきた。ゆらゆらと夜の街をさまよい続けるY平。でも不思議といい気分だ。こうして夜の街を歩くのも悪くない。なんだか周りに人がいるのが落ち着く。普段は大嫌いなチャライ男の人たちも、なんだかこの街のこの時間帯に見ると、不思議と悪い気はしない。ここの人たちは、本当にみんな楽しそうなのだ。憎めるはずもない。
すべてに優しくなれる穏やかな気持ち。適度な酔いと、心の平穏さにすっかり溺れながら、僕はさらにユラユラと街を歩く。ゲーセンに行きたい。音ゲーがやりたい。川崎で音ゲーがやりたい。
そんな穏やかな人間の目の前に、突如としてカットインしてきた煩悩の店。そこは欲望むき出しのアグレッシブショップだったのだ……!
↑ スナック谷間
川崎市民=生殖器。
どうやらこの仮説は覆すことのできぬ、定説となってしまったようです。ほんと悲しい。ふしだらな川崎が悲しい。いくらなんでもスナック谷間はやばい。下手にダサいから逆にやばい。ダサすぎて逆にエロい。
しかーし、ふと気がついてみるとどうやら周りの様子がおかしい。キラキラと派手な光にあふれた路地なのだが、どこか暗く、デーモンな空気をにおわせる。ここは……風俗路地だ!
危険だった。風俗路地とは言え、普通に民家がそこかしこに挿入され、町内の掲示板まであるアットホームな路地だったのに……よく見ると民家と同じ数だけ客寄せ付きのエロ店があふれているのだ!
「お兄さんお兄さん! まだ決まってない? 18歳の子いるよ。18だよ!」
「よく来たな! いらっしゃい! 一名さまご案内~!」
「女の子の写真あるよ~! 写真だけでもいいから見て! おねがい!」
「おっぱい! おっぱい! おっぱいセーラー服!」
半ば強引、そして判読不可能な日本語で迫る客引き。いかにも田舎ものでショボい僕に向かって、黒い服たちが群れる群れる。目が合えばとりあえずもう入店みたいな流れになる。怖すぎる。しかも2万とか高すぎる。(相場としては普通なのだろうが)
先の路地を見ると、両サイドのお店で客引きが延々と並んで僕を待っているのが見える。みんな俺を見てる。
「1万9000円クラスの店じゃあなー。微妙だわヤッチャン」
とか玄人な会話してる中年親父には見向きもせずに、田舎丸出しの俺を見てる。よく見たら、ヘルスとキャバの間に交番が見える。なんて街だKAWASAKI。(マジです)
ふと左の小さい路地を見ると、掘っ立て小屋みたいのがならんでいる。小屋はガラス張りの入り口で、入り口の奥では挑発的な目つきでたたずむ下着の女の子が。ノリてきには昔の花魁(?)みたいな感じで客が実際に女の子を見て、その場で買い、ことに及ぶとこらしい。中年の親父がその小屋の前を通り過ぎると、立ち止まる。そうかと思うと、決意したように踵を返し、そこの小屋に入っていく。僕が別世界の出来事のようにその光景を見ていると、隣の小屋から、豊満な女性がこちらにウインクを送ってくるのが見える。うちの母さんぐらいの年齢だろうか。
ここはやばい。
レベルの低い僕が入っていいスポットではない。危機を感じた僕は、そのままその路地に背中を向けると、早足に自分のホテルに逃げ帰る。確かに意気地なしかもしれない。でも怖いんだ。客引きも客も全部怖い。みんなすげえ悪い人に見えるんや。ごめん。ネタにならんくってほんとごめん。
誰かに謝りながら、安全地帯まで逃げる逃げる。
「お、兄ちゃん帰ってきたか! お帰り! おっぱい見にいこうぜ!」
すいません、僕ゲイですから。すいませんほんとすいません。
さっきの客引きにもかまわず、ナリフリかまわず逃げた。早くここから立ち去りたい。欲望の渦巻く空気がなんともいやだ。もうお腹いっぱいです。
最後は早歩きから小走りになりながらも、なんとか家族連れが見られるような開けた場所に到着した。はあ、助かった……のか?
「オニーサン、オニーサン! 駅ってドコデスカ??」
振り返ると純朴そうな娘が立っている。その出で立ちは、なんだかいかにも田舎っぽいし、彼氏にはとことん尽くしそうな感じの真面目な大学生に見える。ふう、エロい空気はもうない。ここは安全なのだ。呼びかけられたことに少しびっくりしつつ、にこやかにこう返す。
「ごめん、僕旅行者なんで、分かんない。ごめんねー」
久しぶりに見る、純粋な空気に癒されつつ答えると、僕はさっと立ち去ろうとする。すると娘が僕の腕をがっちりつかんだ。
「オニーサン、マッサージしてアゲヨカ?」
血の気が引く僕。こんな、こんな純朴そうな子まで……あああああああ!
「すいません、ほんとすいません。お金ないから。」
「イイヨー、安いカライイヨー。トッテモきもちいい。アナタもワタシモ。」
「えっとほんと、旅してるんで無駄使いしちゃだめなんで!」
「イチマンえんで、ゼンブしてあげるよ。イチマンエンよ。」
「安っ!」
常識的に見て、1万で全部は安すぎる。この人はたぶん、クラミジアと梅毒と淋病とHIVをコンボで持っている気がする。死ぬ。そもそも1万2000円しかない。名古屋帰れんくなる。
僕は腕を振り解くと、すいませんすいません言いながら歩き出す。すると細い腕に似合わず信じられないパワーで娘は僕の腕をひっつかむ。どうなの風営法?
「チューしよ、チュー。チューシタゲルから。イチマン。イチマンー!」
必死すぎて、ゾーンの広い僕ですら嫌悪感を感じる顔になっている。え、ほんとにいやだぞ。
「ごめんなさい! 彼女いるから! すいません!」
最終手段とばかりに、右のペアリングを見せながらそう叫ぶ。するとそのチャイナ風娘の顔は一転、憎悪の顔に変わるのだった。そればかりか、
「イクジナシ! 死ね!」
と罵倒をしたあと、バチンと僕の肩をグーで殴る淫売やろう。淫売パンチが炸裂しました。えっと、すいませーん、風営法さーん。この人ひどいんですけどー。
ということで、皆さんも魔都「川崎」へ行く際はご注意ください。なんかへこんだ。
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明日は東京、あさっては箱根に行きます。更新できたらまた更新します。
「眠らない街、川崎 By Y平」への1件のフィードバック
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いやーおもしれーよホント
はやく出版してもらえ。書籍化しないといけない、これは。
連絡くれ