本日二回目の更新です。って言葉は僕の鼻毛ぐらいの価値しか持ち得ない。
まあ、そんなことより成人の日。成人式の話をする。
いや、今年も滞りなく成人式が行われてよかったです。沖縄県那覇市。うわさでは、
一箇所に集まった新成人どもが、ねじり鉢巻、羽織袴。お酒片手に近所をまわり、
「これから社会のために貢献しまあす!」
などとメガホン介して大音量の大宣言。ワオンワオンの大合唱。近所の犬は吼えまくり。
「鏡割りじゃあ!」
と叫べばマッポ先公飛びにけり。マッポに連らるる馬鹿を見ながら、
気取ったメスが口を割る。
「あたしらもう大人だからぁ。あんなこた、しない」
そう言うメスはタバコをプカプカ。実はまだこの日このとき19歳。プカプカ。
違法違法の無法地帯。終いにゃ元気横溢、性欲絶頂。
「こんな日は男と寝てええええ!」
と大音声(だいおんじゃう)でのたまいけり。
「これが大人……」
苦笑いするは40代の「真」成人たち。顔にあいつら馬鹿じゃね? って書いてある。
隠せない。いや、隠さない。全部事実です。(マジです)
経験則で言うと、「俺、もう成人だから……」っていうやつは子供です。なんとなく。
つーかかく言う僕も、今年で成人三年目の若手なんですが、僕はまだガキですね。
正月は徹夜でボンバーマンやってたし。負けたら呑む、みたいなルールでやってたら死んだもん。
酔えば酔うほど負けが混み、そして呑まされるみたいな敗北の螺旋。
こりゃあ敵いませんて。これが成人。
んで僕には弟がいるんですが、そいつが今年成人だったみたいです。
僕は夕方ぐらいに起きたので知りませんでしたが、滞りなくやってきたみたい。
仲間と部屋でヤンヤヤンヤ騒いでました。騒ぎ方からチャラいのはさすがバンドマン。
まあそんな糞バンドマンどもは無視して、僕は部屋でインターネット。
成人の日とか関係なしにインターネット。まだ日の沈む前だってのに、
杉山圭のAVなどをダウンロードしてました。
(もはや杉山圭に恋をしていると言ってもいい!)
すると弟の部屋がガラリと空き、「そろそろ夜の街にしけこもうぜえ!」
「なんたって俺ら成人だべ? だべ?」みたいな馬鹿ボイスが響く。
ほほう、酒場に赴くようです。まあ楽しんでくるがいいさ。
せいぜい大人になった称号を抱えて、大人気分を満喫してくるのだな。あくまで気分を。
だなんて僕も先輩顔。
まあ当の先輩は、寝グセにパジャマ、体操座りでインターネットだけど。
どう見てもニートルック。
さて、そんなニートルックの兄。やつらが玄関先へ向かう足音を聞きながら、
重大なミスに気がついた。なんと部屋のドアが開いている。僕の部屋が開いている。
これはつまり、玄関先へと向かう弟集団が僕のあけっぴろげの部屋を、
いや、醜い僕のそばを横目に通り過ぎるというわけだ。不味い。僕、今ニートルック。
僕を見たバンドマンあとで「お前の兄貴、超きもくね?」「つかニートじゃね?」
「おう、あいつニートだかんよー。マジキモ」みたいなこと言う。僕かなしい。
あー。これはいかんよー。惨めだよー。そう思った僕はやつらが通り過ぎる前に、扉を閉めようとした。
あいや待て。やつらはもう既に僕の部屋を通り過ぎようとしている。
そこをぼくが駆けていって、ドアを閉めたらどうなるか。
シミュレート――さながら何かを隠すようにしてドアを閉める僕。バタン!
「え? 何あいつ?」「感じ悪くね?」「つかお前の部屋なんか興味ねーし」
「つかニートだし」――シミュレート終わり。はわわわわ、新成人怖い。
どう転んでも僕を馬鹿にするシステムです。
そうこう考えてるうちに、やつらが通り過ぎた。わわ、ほんとにきやがった。
横目で見ている、いや、見てらっしゃる。目線を合わせたら駄目だ。
僕は重要なプレゼンをパソコンで作っている。そういう設定にした。
お前らのことなんか興味ない。そういう設定にした。ニートルックだけど知らね。なんとかなる。
やつらが通り過ぎる間。さながら悠久の長さだ。早く行け。僕にかまわず行け。
お前らの人生を突き進め。
「おにーさん、お邪魔しましたっすwww」
やめてー! 違うよー! お前らに求められた行動はそれじゃあない。
何食わぬ顔して素通り、それが大人のマナーなんだよ。ニートにはニートらしい接し方を。ね?
そんなアクティブに接しちゃだめなんすよ。まずチャットから始めよ? ね? ね?
つかこいつらチャレえ~、こええ~。やっぱ駄目だよー、
お前らみたいな高貴な身分(バンドメン)とは話せないよー。こえーよ。
内心しどろもどろになりながら、僕は次の言霊を宙に吐いた。
「ああ、はい。お邪魔します」
言っちゃった。うん、僕言っちゃった。「お邪魔しました」って言われて
「お邪魔します」って返した。
それはもう、「おはよう」に「おはよう」で返すぐらいのノリで、自然に滑らかに。
言った後で激しくどもった。「あ、僕間違ってるなー」なんて思いながらどもった。
僕はこの家庭の子だものなー、お邪魔はしてないよなーなんて、心の自分は笑ってた。
そのあと、0.7秒ぐらいの間があった。この間、やつらの脳神経に
僕に対する蔑みの電流が次々と運ばれているのがわかった。
「きもい」「おかしい?」「ニート」「変人」「パソコン」「ネット」「童貞」
あらゆる負の感情を運ぶ微弱電流は、やつらの脳隋でいっしょくたになり、
海馬へと突撃した。
かくして奴らの海馬に、新たなる新領域、「兄貴は気持ち悪いニート」領が確立されたのだ。
それは数年の時を経てもなお消え去らない絶対領域であり、それは僕を見るたび、
弟を見るたび、侮蔑の信号をやつらの脳に送り続けるのだ。
世の中には二種類の人間がいる。侮蔑する人間とされる人間だ。
俺は奴らの中で、侮蔑される人間としてカテゴライズされた。もうだめだ。
しかし献身的な僕の侮蔑されっぷりは、奴らの心を優越感で満たした。
やつらは他を蔑むことで、自分の相対的価値をあげようと努力した。
そしてその心の安定が一時代を築きあげるに至るのかもしれない。
新成人として申し分のない働きを約束されたのだ。
そしてみんな幸せになりました。
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「成人の日 By Y平」への4件のフィードバック
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下の記事といい、やっぱY平君クオリティ高いなー。
うちの弟も成人式だったんだけど、5日くらい家に帰ってこなかったよ。
実家でずっと家にこもってた俺とは違うとおもたね。
兄貴は引きこもり、弟は放蕩息子。
親が不憫でたまらん。
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あやうくY平くんに殺されるところでした。
ギブ・ミー・酸素。。。
俺、弟だけど、そんな飛んでませんばい。
弟にもいろいろな種類があるってことですね。
にしても、ホント毎回Y平くんの計画的言動には参ります。
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>やめてー! 違うよー! お前らに求められた行動はそれじゃあない。
Y平さん面白い(´Д`*)
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バル君>
まじでー? なんかウチの弟と不義具合が似てるな。
成人したからこそ親になにか……みたいな心がけを持ちたいよね。
あくまで願望だけど。(僕は2005年成人の日何してた? 吐いてた)
バル君ひきこもりか……僕と似てるね。
どっちの親も難渋してるだろうね。バル親もY親も。
GUMOL君>
飛ばない弟が羨ましい。やつは飛んでるもの。輝いてる。バカだとも思う。
けどそれでいて、将来が明るく、かつしっかりやっていけそうなのは
弟のほうだろうなって思うんだよね。悲しい!
ギブミー行動力!
名無しさん>
その言葉で生きてる(じーん)