僕はコンビニでバイトなんぞしてるんすけども、本気で嫌いだ。何がって客が。
そう言うと、ははーん、うっとおしい客多いもんねー。だなんて経験者がしたり顔でしたってくるので軽蔑の目線を発する。いや、もう、立ち読みがうぜーとか、商品の置き方がうぜーとか、態度がうぜーとか、すわり読みすんなとかそういう原初的なレヴェルじゃなくて、店に入ってくるだけでうざい。逆にお前何で働いてんの? ってレヴェルよ。
そんな客嫌いの僕なんすけど、先ほどの話。何やら高校生のチョイ悪たちが、店の前で4,5人たむろしている。んで、僕は丁度モップを洗いに外の水道のところでジャブジャブやってる。その前で奴らがエンジンを切った原付に乗りながらだべっている按配。僕のジャブジャブ音をバックに、奴らの会話が響いてくる。
ジャブジャブ。
「そろそろさー、新しい店、開拓しに行こうぜ」
「お~、どこよ」
「立山のマックとかは?」
「遠いよ」
「じゃ、松尾のマック」
「イマイチ」
「そいじゃ、間をとって島谷のマックはどーよ」
「あー、あそこよく島谷ギャングスとかがおるよ」
「マジ?」
「立山ビッグスピンとかもたまに」
「お前マニアックだよ」
「知らねーよ」
「常識だし」
「じゃあ名駅のマックでいんじゃね?」
「あえての名駅」
「あえての老舗」
「じゃあ行こうぜ」
「おう」
ビィイイイーンパタタタタタタ……ジャブジャブ。
初めて客が好きになれた瞬間でした。
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