先日彼女とオシャレなサンドイッチカフェに行ってきた。ちゃらけたデッカイ皿に、ちょこんと載った前菜が一品、サンドイッチが2きれ。抹茶のジェラード的ななんか冷たいやつがついたランチセット、1600円。ランチだ。1600円だ。1600円て。なんで? 値段だけで、僕のレベルではあまりに敷居が高い店ということが見てとれるだろう。まあでも何事も経験っつーことで行ってきたよ。
店内は昼なのに蝋燭のランプがゆらゆらとしていた。暖炉とかもしれっと当然のごとく設置されてる。茶色いフローリングは自然にできたかのような家庭的な傷でデフォルメされているし、じゃあ傷傷で汚いかっつったらそうでもなく、ワックス磨きが行き届いた重厚感あふれるツヤが非常に暖かみがあってよい。あと、なんか知らないけど、本棚っぽい収納棚みたいのがゴロゴロ、その一つ一つが粋っていうのか、一言で言えばカントリーマアムみたいな。その、分かるかな。ドイツチックな。で、ベージュの綺麗な壁紙のあちこちに、シックな絵が飾ってあって、さらに、客が使ってないテーブルがあるなーと思ったら、そこにオシャレな小物やら、芸術を表す何かドイツ的なものが置いてあって、これまたたまげた。
働いてるウェイター達も一々チャラくて、こう、イタリアンな料理人とかがパスタ作るときにする下半身だけのエプロン(X線写真とるときのガーダーみたいなやつ)をして、スッスッと店を歩き回ってる。絶対あいつら家のインテリアに妙に凝るタイプに違いない。部屋にカウンターバーとかを作っちゃうタイプ。
客層はやっぱりマダムが多い。夫の給料で、1600円を湯水の如く使う彼女らは、おおかた南山や椙山あたりの付属幼稚園のお受験の話でもしてるんだと思う。なんていうかそういうオーラが見えた。
全体的に、油断すると、「アーデルハイド!」とか声を荒げたロッテンマイヤーさんがツカツカと歩いてきそうな風情だった。間違いなく1600円のランチのうち、1000円ぐらいが内装代に消えてる感じがした。
まあでも、男女で来るには最高のスポットと言えよう。オシャレだモン。こういうカフェテリアに、意中のあの娘を連れてきて、「ここ、俺の行きつけ」とか渋く決めたら超カッコいいと思う。ちょっとマスターなんかと親しげに話したりなんかしちゃうと、それだけで、非常に「っぽい」感じがすると思う。
でも、僕ら二人はそういう趣味が一切なく、むしろ家でおでんくん見ながら味噌汁を食らうことに美学を見出しているので、終始「サンドイッチに1600円か……」という気分がぬぐえなかった。いやうまいよ。うまいしオシャレだけどねえ。だからなんなの? っていうかさ。これを500円で食べれたら死ぬほど拍手するんですけどねえ。ぼかあ。
そんな感じで、ややげんなりしながらお会計をしようとしたら、イタリアンシェフ的なカッコいいマスターが、「お会計、3200万円でーす!」と陽気におっしゃり愕然とした。気品の中にチラリと含ませる遊び心。流行るお店はギャップで攻めてくる。
悔やまれるのは、僕達2人、まさかこんな魚屋さんみたいな反応が返ってくるとは予想だにしてなかったので、「え、あ、はい……」と大層キョドり、まるでマスターがスベッたみたいな空気になってしまったので、ああすまないな。今度来たときは「はい、3千2百万円っす!」とノリノリで返してやりたいな。と思った次第。そしてここまでが店の戦略だったりする。怖い怖い。でもまた行こう。
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「オシャレカフェ戦略 【エッセイ】」への2件のフィードバック
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そうか、Y平さん、また、行ってしまうのか・・・。
>「ここ、俺の行きつけ」とか渋く決めたら超カッコいいと思う。ちょっとマスターなんかと親しげに話したりなんかしちゃうと、それだけで、非常に「っぽい」感じがすると思う。
…そうかぁ? おでんくん見ながら味噌汁を食らうカップル、いいな☆って思っとったけど。そういうバブリーな店はどんどん潰れていくんじゃない。これからは。
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お寒さん>
>「ここ、俺の行きつけ」とか渋く決めたら超カッコいいと思う。ちょっとマスターなんかと親しげに話したりなんかしちゃうと、それだけで、非常に「っぽい」感じがすると思う。
あっち側の人はそういうことを思うんじゃないかなあなんて。まさか僕はそんなことはしません。