桐島と便通

 良いインプットからアウトプットが生まれる。との信条の元良い作品に極力触れるようにしている。ということで今日は本棚に埋まっていた月刊シナリオ(シナリオライターや映画関係の人が読む月刊誌。有名な脚本やら演出家の対談やらが載っているどマイナー誌)を引っ張り出してくる。この号には「桐島部活辞めるってよ」が脚本でまるまる載っているため、今日はこれを読むことにする。
 午前の仕事を終えて昼。少し桐島を読んだ後寝ようと思ったけれどもあまりに面白すぎて昼休み中読んでしまった。その後、眠くて仕方なかったのだが仕事中も桐島の続きが気になって仕方がなかった。映画の方はすでに観ていたのだが脚本で見ても面白い。キャラクターがこんなにいっぱい出ているのに、なんとなく個々人の個性が立っているのはやはり賞を総なめしただけはある作品だった。あと主人公役の神木キュンがいちいち頭の中でちらついて、心がざわつく。神木キュンはやはり大物。
 仕事を終えて、これはどうしても読み切りたいということでその日の晩飯を申し訳ないが辞してそのままモスバーガーへ。話題のアボカドチリバーガーをもしゃりつつ、食い入るように脚本を読む。クライマックスの屋上のシーンは鳥肌を立てながら読んだ。宏樹の悲哀、前田の屈託ない情熱。泣けた。アボカドはこんなにしょっぱいものだったか。
 腹も頭も満足しつつ家路へ。途中地下鉄の中で腹痛を催し、前田演じる神木キュンばりに挙動不審な振る舞いで尻をしめつつ走る。リュックがボコンボコン尻にあたりそれで漏れそうになる。リュックを前に抱え、泣きそうな顔のまま、清楚なOLを追い抜き、サラリーマンにぶつかりながら走る、走る。モリ。モリ。ちょっと出たんじゃない? 道端でうずくまり「ミルナー! ミルナー!」と叫び声をあげながら菊門をアスファルトに向けイキむ俺を想像し、戦慄する。桐島部活やめてる場合じゃない。モリ。また尻に違和感。大丈夫。こういうとき、出たと思っても後で出てないパターンは人生で多く経験してきた。そういえば俺の父さん。50過ぎてからウンコを漏らすことが多くなった。「漏れてまったわ!」とかあっけらかんと笑いながら宣ううちの親父。その血を受け継ぐ俺。モリ。やばいやばい。マジで漏れる。走れ。走れ。桐島を探すバカ達のごとく全力で走る。鍵を左手に持ちつつドアに体当たりしそのまま鍵穴をグリリと回し。まるで池田屋の新撰組のごとくドカンとドアをぶち開け、ビビる妻に向かって一言「ウンコ!!!!」