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「屍ちゃんぷるー(Remix)」 管理人 DJしかばね
世の中の比較的言いづらいところを、あざやかに斬っていく素敵なブログ。DJしかばねさんの、時事ネタを絡めたブラックなジョークはかなりツボです。人とは違った目線で見るとはこういうことかもなあ。
すごいツボった記事たち ↓
差別する建造物2
牛に願いを~Love&Farm~
”経験”でドレスアップ
テレビドラマの虚構性 ― 『山田太郎ものがたり』第4話
近所祭り
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「Y平さん……え? うそ? ハゲてますよ?」
みたいなことを言われたので焦った。言い方としては「しまった、気づきたくないのに気づいてしまった」みたいなニュアンスで言われ、こっちもあっちも気まずい。僕は半泣きで、「え? うっそ! マジで!? ……やっぱかー! 俺、遺伝的にハゲるんだよなー!」などと空気を和ませるために大げさに叫び、乾いた笑いが向こう側(ハゲてない側)から申し訳程度に漏れてくる。という夢を見た。あっぶね、夢でよかった。僕、ハゲてない……よな?
だがこの夢は、僕の脳内からの必死の警鐘のように思える。思えば4月からの大学生活、びびるほど風呂に入っていなかった。たぶん風呂入る確率は谷繁の盗塁阻止率ぐらい。そんなだから、ギャンギャン脂が毛穴に溜まって、髪をグシャグシャすると大量に毛が散った。
中学生のとき。卒業文集に「将来ハゲそうな人ランキング」という親御さん青筋もののランキングが発表された。そのとき、なぜか僕が2位にランクインしたことがある。1位は下馬評通り、クラスのハゲキャラ大平君が選ばれたのだが、真にハゲそうな人として勝利したのは僕であった。だって僕はそんなキャラじゃない。「ハゲそう」などと中学の3年通して一度も言われたことはなかった。それが3月の卒業シーズンに急にランクインする意味、皆の気の使い様、担任の薄ら笑い。みんなみんな中途半端な優しさと悪意で溢れていた、様に思えた。
だが、実際どうだ。僕は髪をグシャグシャと触ってみる、鏡に映してみる。ハゲてない。全然ハゲていないぞう。それどころか髭に溢れ、髪も長く、そして多い。体毛という体毛で黒々とした顔。頭だけには留まらず、顔面中に毛が散りばめられている。この勝利した感覚! 見よ! 「将来ハゲそうな人」を見極められなかった馬鹿な友人ども! ひれ伏せ! この顔。髪が長く、多く、不潔そうな毛いっぱいの僕の髪の毛を! 活目して見よ!
不潔そうな髪で思い出したけど、明日から2週間のインターンでしてねー。これ、完全にヤバイよねーこの髪形。この天パ。これでは昔の友人に勝てても、インターンに負ける。ということで、髪を切りに行ってきた。
いつもは大学の帰りか何かに、星が丘にある美容院に行くんだけど(これは星が丘という高貴な響きを利用した自己PRである)、まあ大学もないし適当で良いだろうということで、適当な美容室へ。
カランコロン、っしゃいませーー! ちらりと確認する値段表。カット4000円。あ? この高い値段設定。ここは天下の星が丘様か何かかしら。ノン、ここは地元。てめえー、くそ。地元。まあ怒っても仕方ないので財布を確認。3700円しかない。へへ。
へへへ、という軽率な笑いを浮かべながら、「すぃぁせん、お金ないっす。また来ます」っつって背中を向けたら、おばちゃん美容師に必死の形相で止められた。「あ、お客さん、何円あるの?」あ、3700円っす。「あ、なら大丈夫だわー。顔そりなくしたら500円引きだもーん」あ、そっすか。なら、お願いします。「あ、はーい。こちらどうぞー」あ、すぃぁせん。(美容室って顔そりしたっけか?)
お互い、「あ」「あ」「あ」などと言い合いながら、席へ付いた。いざカットの始まりです。担当は先のおばちゃん美容師。一抹の不安が頭をよぎる。年配の美容師さんは何かしら怖い。センスが怖い。これは偏見か? いや、床屋を思い出すからだろう。僕は昔、床屋のおばちゃんに「スポーツ刈り」と頼んだら、ウド鈴木にされた経験がある。散髪コンプレックスはこの時期に培われた。
「今日はどんな風にしますかあ?」
と言われても、返答に困るのが僕の性。なぜか考えてみる。……そうか、僕は髪を切りたくないんだ。なぜなら現状の髪形に満足しているから? 違う、ファッション的な意味じゃない、もっとこうダメな理由、半年に一回ぐらいしか髪なんて切りたくねー的精神。いいね。これはガチ。僕は基本、髪も切りたくない、髭も剃りたくない。ついでに働きたくもない。……働く? はっ、そうだ。テーマはそれだ!
「就活に耐えうる髪形にしてください」
と答えた瞬間、空気を支配するのは沈黙と戸惑いである。「えっ」と逡巡の表情を浮かべるおばさん美容師。無理も無い。「大気圏突破に耐えうる装甲」とかそういう類の言い回しのごとく言ってしまった。これは妙だ。
なので補足として、「横を短く」「後ろ髪を微妙に短く」とか断片的に、極めて主観を交えた曖昧な注文をいたしたところ、最終的に「さっぱりする」という意見でお互いが一致した。この美容室コミュニケーションはいつだって僕を悩ませやがる。
しかし一息ついたのも束の間、おばちゃん、すごい勢いで髪を切り落としていく。チョキチョキ、とかそういうんじゃない。ジョンギリって感じにザクザク切り進んでいく。え、ちょま、おばちゃん。待って。ここで生じる双方のニュアンスの違い。僕とおばちゃんのさっぱり性の違い。双方には超えられない壁がある。あった。気づいた。
しかし言えない、何も言えないのが僕であった。自分の髪形のコンセプトすら伝えられないこのコミュニケーション力のなさが悲しい。もしこれがおばちゃんじゃなくてクライアントだったとしたらどうするんだ!? 反省せねば!
だりーよ。すぐ就活につなげようとする根性がダルい。日々のコミュニケーションの中で自分を変えていく。ああ、確かにいい考えだ。が、そのコミュニケーション力向上意欲の先にあるのが、「自身の内定」という極めて利己的な打算だ。……いや、これは別にいいか。キチンと相手に物事を伝える。これができるのは基本だ。当たり前だ。なんか就活的意識の批判したかったけど、何も浮かばなかった。このテーマで「就活とかムカつく! 特にあの自己アピールに余念のない、輝いちゃってる就活生ども! 死ねよ!」と就活的敗北者の弁を述べるのは不可能だ。ごめん、俺、間違ってたわ。
自分の行動を反省してればなんか就活っぽい気がしたので、反省した。反省した僕は、ジャンギリジャンギリ切られていく横髪、後ろ髪にさよならしつつ、注文の修正機会をうかがう。なぜすぐに言わないのか? 言わないんじゃない、言えないんだ。なんか、途中で注文するって、優柔不断な感じがしていやじゃないっすか? あ? そこがダメなんだって? だりい。だりい意見だ。バカじゃないの。
いいですか、カメムシがいましたよ。そのカメムシがいきなり「ビルゲイツになりたい」とか抜かしたら可笑しいでしょ。不自然でしょ。カメムシがビルゲイツになるのにどれだけの過程を踏むか、想像してくれよ。いいか? まずは、だ。地殻変動による気温変化、捕食者の増加など、ありとあらゆる進化をうながすファクターがまず必要だな。それに対して、何千万年、何億年という進化にかかる時間も必要だ。変化していく過程はものすごく遅く、目に見えないところから一歩一歩進化、そして人間には到底考えられもしない、悠久の時間と微小な可能性でもってようやくビルゲイツとなるんだ。
つまり俺は今カメムシだ! 理想は、切る前から自分の欲している髪形を的確に伝えられることだ。つまりそれはビルゲイツだ。が、俺がまず目指すべきはそこじゃねえ。膨大な量の進化のうちの、一つ目の進化を遂げることが重要なんだ。「注文を伝えきれないまま刈上げにされる自分」(←今ココ)と、「横髪、後ろ髪をザックリ切られたあと、もうすでに時遅しだけれども、ようやく注文を言えた刈上げの自分」では、進化と言う点で崇高なる違いがある。これを繰り返していって僕はいつかビルゲイツになるんだ。分かるか。スピードにこだわるな。自分のペースで進化していけばいいんだ! これがわいのSYUKATUなんや!
「も、もみあげは長めでお願いします」
かくして、僕は「注文は正確に言えなかったし、最後の最後でどうでもいいもみあげに注文をつけて、ほんとはどうにかしたかった前髪に関する言及は一切できなかったが、『切ってる途中で注文を追加できる』という胆力を得た、刈り上げで妙にもみあげが長い僕」という、僕に進化することができた。これは、ゲイツに向かう第一歩目の進化であり、僕は今日の経験を経て、「就活を通して成長できてる……!」という、就活生特有の輝いてるアピールをすることができたのである。
SYUKATU……最高!
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「就活散髪 By Y平」への10件のフィードバック
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寝る前にちょっと、と初めて寄って即ファンになりました(>∀<。)オモシロー
てゆっても眠気と頭脳レベルの関係で今日の記事の後半は意味プーになりました。
また来ます!楽しみが増えました!!オヤスミナサイ!!
私も美容院の注文下手です。
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俺な?カメムシからゲイツは何万年かかってもダメだと思うんだ・・・
せめて魚類的なものから始めないと。。
カモムシとホモサピエンスは既に別たれた進化の先にいるものだもの。
それと空気読めなくてすまん。「刮目」じゃ・・・?
でもいつまでもフサフサでいることを願ってる!!
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あたし、最後に美容院行ったの成人式の時なんだけど。
母の友人のやっている美容院。カリスマ美容師だよ。
刈り上げ写真うpしないの?
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意思疎通って難しいですよね…
でもそのカメムシが自分で「俺はビルゲイツだ」と思い込んだらいいと思う。ドンキホーテとか色んな意味で。
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今、車校なんですけど、結構な声で笑ってしまいました。あぁ前の人の目線が痛い…。
髪切って準備も万端ですね!インターン大変でしょうけど頑張って下さいね。私も去年インターンやりました。一週間で体重が4キロ減りました。
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僕は中学生の分際で美容院なんかに通ってる自分を想像すると、どうにも毒づいてしまうので床屋しか経験はないんですが、なるほど向こうも商売ですからね。ああいうのは、金払ってる客はこっちなのに何故か髪切る側が先導権握ってて、これも不思議なんだけど希望の髪形とか言い出し辛くて困ります。だから散髪の頃合いになって来るとひどく億劫な気分になるんですよね。
それにしてもY平さんの虫の例えはいつも的を射てますな。とりあえず、就活が軌道に乗る事を祈っとります。
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今日の記事めっさ共感しました。
僕は床屋しか行かないんですけど、正直きりたくない。親に言われて嫌々と行く。だから髪型聞かれても答えられない。だって切りたくないんだもん。だから適当に答えると短くされたり長すぎたり。長いと親に怒られる。俺とうとう怒る。親怒る。何だこの悪循環。
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美容院が嫌ならハゲてしまえば良いんじゃないかな!僕が調べたところによると、ハゲた場合の利点として、1・散髪代がZERO、2・就活で面接官に苦言を呈される確率がZERO、3・(物理的に)輝いてる俺、priceless!という超絶進化が見込めると思うのですが。
まあ、僕はハゲにはしてませんが。
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おもしろいですね、笑ってしまいました、す、すみません。
インターンってどんな感じなんですかね、私も四年なんですけどまた違う方面なのでひとによって全然違うので刺激されます。
焦る時期に限って周りも意地悪なひと多かったりしますけど、自分に負けずに頑張りたいですね(´・ω・`)
またきますね☆
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尚さん>
意味プーなのは俺のせいです。すません。またきてん。
浅野君>
ずっと誤字そのままにしてたわ。しもたー。カメムシからゲイツはなれるよ。僕はものすごい広義な意味で言ってるもん。こう、平行世界とか、SF的な、何か、こじつけるような何かで。
ゆずこさん>
自分で切ってる人やね。すげーな経済的。
写真はうpしねーもん。そういうブログにしたないもん。
JOHNIEEさん>
かっこいいなカメムシが「俺はビルゲイツだ!」
いや、それもありっすね。
ゆりさん>
僕はインターンやってからだがやせ細りました。こう、ガリオタク的な体系に……これだからSEってやつあ。
陸くん>
中学生時代僕も床屋だったな。でもな、美容院行っても結局かっこよさはかわらんのだなこれが……
ていうか確かに向こうに主導権あるね。なんかやつら僕がウカツなこと言うとひいてくるし。ぷんぷん
GLAYさん>
長いと親に怒られるって一体何歳なんすかGLAYさん。高校生っすか? うむー、なんか読者層が変わってきてうれしなあ。
saigyoさん>
はげと僕にあやまれ! そのテンション、そのpriceless!とか言うノリ。もっとおごそかだぞ! ハゲは!
さくりんさん>
意地悪な人って……笑 病んでますねー。でもそうにもなりますわな……こええ!