娘とお留守番

日中嫁も僕も疲労で死んでいた。二人ともずっと昼寝していた。

娘はその間、あっちこっちで一人で遊んでいたのだが、ふと目を覚ますと枕元に大量のドーナツが置かれていてウケた。

布団の上にドーナツが置かれている

夜。嫁は飲み会のため僕と娘はお留守番。ご飯を食べながらとなりのトトロを見ていたがすごい。この映画すごい。正直子供の頃は平成狸合戦ぽんぽこの次ぐらいに面白くないと思っていたが、面白い。なんというかすぐに父親目線になる。僕はトトロでもサツキでもなく、父親ばっかりにクギ付けになっていた。

特に良いところ。お父さんが仕事している最中にメイがお父さんの机にお花を置き、「お父さん、お花屋さんね!」と言われた時の反応ときたら。お父さん、メイが置いた花をひとつまみ、それを楽しそうに眺めてんの(仕事中なのに!)。最高。「お父さん、この家何かいる!」と訴えるサツキに対し、「ははあ、まっくろくろすけだな」と返すところ。最高最高。神社に「メイがお世話になりました!」ってお礼に行くところ。最高最高最高。とにかくなんつーか父親としての余裕と教養に溢れている。

一方の僕は、

この調子なので父親としての格が違いすぎる。しかも32才だってよ。年下じゃねえか。年下かつ小学生のしっかりした女の子を育てつつ、未就学児の世話をしつつ田舎に家を持つ。そして大学の非常勤講師だ? あん? ずいぶん前衛的だなあオイ。俺も田舎に移住すればああなれるかしら。高知あたりに。まだ東京で消耗してるの? と煽りつつ。

あと、メイがおばあちゃんの家に預けられてたのに、寂しくてついサツキの小学校に現れるシーン。小さい頃はバカだったから「なにこいつ学校に来てるんだよ」とか思ってた。むしろメイのだだこね具合に苛ついてしょうがなかった(多分それでトトロ嫌いだったんだと思う)。

でも今。2歳児と一緒にテレビに向かう34才となった今。「だよねー。無理だよねー。お母さんもお父さんもいないで、慣れない土地の家に預けられるなんて寂しかったよねー。ずっといい子にしてたんだぁ。すごかったねえ」と思わず猫なで声になった。んめぃちゃぁんいい子だぁ〜、ほんにぃ、いい子だぁ〜(あのおばあちゃんの声で)

二人してのめり込んで見てしまった。途中娘がうんこ行きたいとか言い出したのでうんこ休憩を挟んだが、うんこ後すぐに「トトロ! 見なきゃ!」と二人で走ってリビングに戻るぐらい。そのぐらいハマってた。鉄板。娘もあと3年ぐらいはトトロで保つ。そんで小学生に上がった頃に、「なんかこのメイって子、わがままでウザいなあ」と思うはず。そんでトトロ嫌いになるはず。なんたって我が子ですから。