行ってきた。太平にあるでかい公園である。庭園みたいなのがあり、7月辺りに来たらさぞ綺麗な感じになっているだろう。が、今はバラ(?)がまばらに咲いている程度で、ふーんという感じだった。
同行者は2歳になる娘。嫁が風邪でダウンしているので、平日に休みを取って二人で来た。家に置いていると、病床の嫁にちょっかいをかけ、まじで険悪になるためだ。ちなみに娘も中耳炎になっていて、体調は悪いはずだが、彼女の中で体調が悪いから家でじっとしていようなどと言う選択肢はない。体調が悪かろうが嫁が倒れていようが、欠勤で給料が減ろうがお構い無しに公園に行きたがる。ので、来た。
道中。娘とおしゃべりしながらの車内。だいたいにしてこの娘と二人で出かけると車内の会話が楽しくて良い。例えば赤信号で車が止まっているときに
娘「青だよー」
僕「赤ですー」
娘「青だけどー? 行って行ってー?」
僕「このまま進むと、二人とも死んじゃうけど、いいの?」
娘「うーん、いいょ」
この「いいょ」と言う言い方が絶妙で、妙に色っぽいのである。雰囲気的にはこう、幼馴染の女子と中2の夏。誰かに振られちゃった俺。振られて悲しいと言う旨の愚痴を延々とこぼす俺。ウンウンと頷く幼馴染。「はーあ、いっそのこと、お前で我慢しようかなー!」と失言する僕。そこへ幼馴染が微笑を浮かべながら、頰を赤らめ(もしかしたら夕日に照らされているだけかもしれないが僕にはそう見えた)、堂々と言い放つ「いいょ」。これ。この時の「いいょ」のイントネーションに非常に近い。
どうでも良い。要するに俺の娘は可愛いのである。そんなこんなで百合が原公園に到着。
自然豊かな上、遊具が適度にでかく遊びがいがある。娘とともにアスレチックに興じ、大人も子供も大満足に遊べた。2歳ぐらいにはちょうど良い感じの難易度で最高の公園である。
さて、ひとしきり遊んで時刻は既に16時である。17時に飯を食い、18時に華麗に寝かせてその後大人タイムと洒落こむには、そろそろ帰らねばならない。
幼児と遊ぶ場合、撤退が非常に難しい。戦と同じである。例えば、下記のように申し出る。
「そろそろご飯の時間だから、帰ろうー?」
愚策。これは愚策中の愚策。こんなことを言い出そうものなら、なぜ帰らなければならないのかと一しきり詰められた挙句、発狂しながらトチ狂う。これをひっつかんで強引に帰ろうものなら、その後ものすごく根に持たれ、夜寝る前に横でふとこの一件を思い出し「悲しかった。。。」とポツリと呟き、シクシクと横で泣かれることになる。それは避けたい。
なので、基本的に対幼児の撤退戦は情に訴えた方が効く。こう切り出すのである。
「あ、やっばーーーー! もうこんな時間じゃん!!! お母さん、泣いてるわ! 帰らなきゃ!」
あくまで、ここにいない第三者が困ってるから帰る。この雰囲気作りが大切である。そして、あえて。あえて、娘に帰って良いかどうかの許可は取らない。有無を言わさず帰路につく。すると、急いで追っかけてくる。
「やばいわ。お母さん泣いてるもん。俺わかるもん。やばいわ。やっばー」
とさらに状況を説明する。普段であればこの感じで十分娘も納得し、愚図らずに付いてくるのだが、今日は違った。
「〇〇ちゃん、まだ遊びたいもん」
なまじ、百合が原公園なんて言う非日常公園に来てしまった副作用が、ここに。まずった。もう、めちゃめちゃキレている。地団駄踏んでる。「だってお母さんがさ…」などと二の句を告ぐと、「だってじゃない!」と怒られる。なんだこいつは。親か?
仕方ないので、嫁に電話するふりをして、ロック中のスマホ片手に「え? しんどい? 早く帰って来てほしい? ほらお母さん、早く帰って来てほしいって言ってるわ」と言ってみたところ。
「電話してないじゃん」
と一言。頭の良い子は嫌いだよ。
最終的に人喰い部族が獲物を簀巻きにして肩に担いで運ぶみたいなストロングスタイルでギャン泣きする娘を強引に連れ帰った。ほんとさ。育児ってさ。本の通りにもいかないし、Twitterの通りにもいかないし、尾木ママの言う通りにはならないよ。