お盆が始まりました。嫁実家は兄弟姉妹が多いので、あちこちから結婚した義兄弟家族がやってきて、さながら嫁実家が民泊のような様相。うちの娘合わせて幼児が4人、小学生1人。大人はなんかめっちゃいる。都心近くの自然豊かな丘の上で自分の娘含め未来ある幼児相手とギャーギャー戯れつつ、義両親がどんどん出してくるビールをタダで飲んでいると、ああ、人生、これでもう満足だな。という気になってくる。今。この瞬間消えて無くなりたい。今が一番良い。

「今。この瞬間消えて無くなりたい」という台詞を吐いて思い出したのだが、高校の時、勝気な現国の女性教師がいたのだけど、その人が授業中に「ふっと今この瞬間消えて痛みもなく死ぬんだったら、死にたいよね？」みたいなことを言い出した事があった。誰も何も言えなかったのだが、今なら分かる。

人生は我慢ばかりしていると世知辛すぎる。20年前の高校の女性教諭。結婚もしていなかった。さぞ気苦労が多かったと思う。勉強はきちんとやるタイプのイキり不良に小馬鹿にされながら、なお気丈に振る舞い、他の男性教諭からのパワハラセクハラにも耐えながら、長時間労働の末、ふと、思いついた名案。それが「今。この瞬間消えて無くなりたい」だったのだと思う。みんなそう思わん？　思春期のあんたたちなら分かるでしょ？　ねえ、死のうよ？　的な。

その方は1年生の時の担当だったのだが、2年、3年になってどうなったかはよくわからない。この方のが極めてネガティブな「今。この瞬間消えて無くなりたい」だとしたら、僕の場合は極めてポジティブな「今。この瞬間消えて無くなりたい」だ。

義実家の墓参りに行った。僕の家は墓参りみたいな習慣がなかったので、記憶のある限り30年ぶりぐらいに墓参りというイベントに参加した気がする。顔も知らない嫁のじいちゃんの墓。墓石の周りをワラワラと幼児が囲みながら水をかけて布巾で皆がふきふきしている。義父が墓石の周りに生えた雑草を抜きつつ、除草剤をまく。そんで、果物だかお菓子を墓前に供え、野球ができる人数をちょい超えた大人数が手を合わせ、各々目をつぶる。おお、これサマーウォーズみたい。サマーウォーズを見た当初、なんかすごい内輪で盛り上がっているナツキの家族が嫌だった。皆が皆、お家(オイエ)を大事にしてまーす感。すごく嫌だった。何がお家だよ馬鹿たれがと思っていた。

しかるに。ナツキ側に組み込まれた今。こういう家族のワラワラも悪くないなと思い、「今。この瞬間消えて無くなりたい」という妄言を吐くようになってしまった。今。まだ現国の教師が無事に生きているのであれば、違った意味でこう感じていて欲しいと思った。