AIを勉強している。いわゆる機械学習とディープラーニングってやつ。なぜかというと流行ってるからだ。これからAI人材が不足して需要過多になるのは目に見えているので来たるべき時に私ニューラルネットワークを少しかじっておりまして。とドヤ顔をする。はあ、前処理が難しそうな問題ですね。ま、やってみますよ。とかなんとか。そんで年収1000万よこせと言うつもりだ。なぜなら家を買いたいからだ。
猫も杓子もAI AI言っている昨今の状況。一昔前のビックデータ、IoTラッシュを思い出す。あの頃出張することだけが仕事の専務だとかなんとかシニアエキスパートだとかビックマックマネージャーだとかが、こぞってJALの機内で日経ダイアモンドを踏ん反り返りながら開き、ビックデータやIoTが熱いらしいと読んだ。かと思うとすぐに目を離し、ゴルフ雑誌を読み込んだ。そうして飛行機で10分ぐらいで仕入れた知識で持って、ビックデータを活用して垂直統合で云々かんぬんとかなんとか、いかにも知ってる風の言葉で会社の説明会などで言っていた奴らはみんな虚空の彼方に消えた。ビックデータの中に吸収された。その名前はおそらくハロワの名簿などに乗っているだろう。あなたはビックデータの一部となったのだ。ビックデータ冥利につきよう。
要するにエセで溢れた。今後AIについても同じことが起きると睨んでいる。なんかこう、AIを使ってさ。いい感じにさ。と言うフワッとした要件で持って接してくるジジイが増えるはずだ。そう言う輩を横目に見ながら、ひっそりとベンチャーでAIをやりたい。幸い僕はファッションEC系の業界にいるため、活用がものすごくしやすい。レコメンデーションにパーソナライズドである。畳み込みにシグモイド関数である。
白状しよう。僕もまたエセである。日経ダイアモンドおじさんと一緒である。でも、みんな最初はエセだと思うんだ。今は亡きなんちゃらエクストラシニアエキスパートもフレンチフライマネージャーもキラキラした目でAIを夢見ていたはずなんだ。みんな最初は子供だった。情熱的だった。その芽を潰さないでほしい。そしてみんなに年収1000万あげてほしい。みんな1000万がただ欲しかっただけなんだ。悪気はなかったんだ。だから助けてよう。ハロワビックデータにはなりたくないよう。え? なんだって。ハロワだ…….ハロワが来たぞーーーー! みんな逃げろーーーー。ハロワが取り込みにやってくるぞーーーー! 俺たちを体ごと飲み込み学習する気だぞー!!! fit()!!! fit()!!! f—————-it()!!!! そうして僕たちはベクトルになった。